令和6年(2024年)司法試験・選択科目:国際関係法(私法系)

道垣内のコメント付き答案例と青字で生成AIの一つであるMicrosoftCopilotに問題文と個別の設問部分を読ませて回答をえたものを設問ごとに区切って並べています。これを見る限り、Copilotでは司法試験は合格しそうにありません。なお、司法試験の設問の並べ方はもっと分かりやすくするように工夫の余地が大きいと思われます。

1問設問1小問1(1)(2)

〔第1問〕(配点:50)

Xは、衣料品の製造販売を業とする日本法人であり、日本以外に営業所等を一切有していない。Yは、高級衣料品のデザインや販売等を業とする甲国法人であり、甲国に本店を有しているほか、日本に営業所を有し、日本の取引先との取引を同営業所において行っている。なお、Yの日本の営業所が所在するオフィスは賃貸物件で、備品は全てレンタル品であり、日本国内にあるYの財産の価額はごく少額である。

世界中からファッション関連企業を集めて甲国で開かれた見本市にXが出展したところ、Yの代表者A(甲国に住所を有する甲国人)がXの優秀な技術に目を付け、Yとの取引をXに持ち掛けた。Xの担当者がAとの話合いのため何度か甲国に赴き、サンプルを届けるなど交渉を続けたところ、XとYとの間で、Yのデザインや仕様に基づきXが衣料品を日本において製作してYに販売する旨の契約(以下「本件契約」という。)がYの本店で締結された。本件契約上、代金の支払期日は、商品を引き渡した日の翌月末日と定められていた。Xは、商品を製作し、2020年5月25日にYに対して引き渡し、その支払期日にYに代金の支払を求めたがYは代金を支払わなかった。

以上の事実を前提として、以下の設問に答えなさい。なお、〔設問1〕と〔設問2〕は独立した問いであり、国際物品売買契約に関する国際連合条約の適用はないものとする。

〔設問1〕

Xは、Yを被告として代金3000万円の支払を求める訴え(以下「訴え1」という。)を日本の裁判所に提起した。

以下の小問1(1)(2)に答えなさい。なお、〔小問1〕と〔小問2〕は独立した問いである。

〔小問1〕

本件契約の交渉過程においては、契約準拠法について、Xは日本法を主張し、Yは甲国法を主張したため合意が調わず、X及びYは、契約中に準拠法に関する条項を置くことを断念した。他方、本件契約には、商品の引渡しと代金の支払は甲国でするものとする旨の条項が置かれており、実際にも商品の引渡しは甲国においてされた。

訴え1について、日本の裁判所の国際裁判管轄権が認められるかどうかを論じなさい。

訴え1について、日本の裁判所の国際裁判管轄権が認められるものとして、Xの代金支払請求について判断するに当たり、適用すべき準拠法はいずれの国の法かを論じなさい。

道垣内:

1)国際裁判管轄

1.          本件の事実関係に照らすと、XYに対する代金請求訴訟について日本の裁判所に国際裁判管轄があるか否かを検討するに際して問題となるのは、@民訴法3条の31号の契約債務履行地管轄があるか否か、A同条第3号の財産所在地管轄があるか否か、B同条第4号の営業所管轄があるか否か、C同条第5号及び継続取引管轄があるか否か、そして、D同条第8号の不法行為地管轄があるか否か、以上であると思われる。また、いずれかの管轄原因により国際裁判管轄が認められる場合には、特別の事情により訴えの却下を定める民訴法3条の9の適用が問題となる。

2.          @の契約債務履行地管轄は、民訴法3条の31号に定める通り、「契約上の債務の履行の請求を目的とする訴え」等について、「当該債務の履行地」が日本であることを要求している。本件において履行を求めているのは代金支払いであり、この債務の履行地は本件契約上甲国とされている。したがって、同号を根拠として日本の裁判所の国際裁判管轄を認めることはできない。

3.          Aの財産所在地管轄については、Yの日本所在の財産はごく少額とされているので、民訴法3条の33号の括弧書きの規定により、日本の裁判所の国際裁判管轄を認めることはできない。[なお、実際には、オフィスの賃貸に係る敷金やレンタルのオフィス備品に係る保証金は相当な額になるのが普通であろうと思われます。]

4.          Bの営業所管轄については、本件契約は、Xの担当者がAとの話合いのため何度か甲国に赴き、サンプルを届けるなど交渉を続けた結果、甲国所在のYの本店で締結されたこと、さらに本件契約に基づく履行についても、Xの商品の引き渡しもYの支払いも甲国でされた等の事情がある一方、Yの日本所在の営業所が関与したことは本件の事実関係からは窺われない。したがって、本件の取引は民訴法3条の34号の要件である日本営業所の業務とは言えないため、同号を根拠として日本の裁判所の国際裁判管轄を認めることはできない。

5.          Cの継続取引管轄については、上記4の事情に照らし、民訴法3条の35号の要件であるXの訴えがYの「日本における業務に関するものである」と言えないため、同号を根拠として日本の裁判所の国際裁判管轄を認めることはできない。

6.          Dの不法行為地管轄については、本件契約違反が同時に不法行為請求権も成立せしめることはあり得るところ、民訴法3条の38号の定める不法行為地が日本ということができるかが問題となる。まず、この不法行為地は加害行為地も結果発生地もいずれでもよいことを前提として(ただし、結果発生地については通常予見可能性が必要とされる。)、経済的損害が生じた日本を不法行為地ということができるかを検討する。この点、物理的な結果発生地であればよいが、経済的な結果発生地は間接的であって、それは含まないとの見解もある。しかし、契約違反による不法行為の場合には物理的結果発生地が観念できないこともあり得ることから、本件において日本のXが代金債権分の被害を被っていることを捉えて、日本を不法行為地(結果発生地)とみることもできなくはないように思われる。したがって、民訴法3条の38号を根拠として日本の裁判所の国際裁判管轄を認めることができると考えられる。

7.          以上により、上記6の通り日本の裁判所が国際裁判管轄を有すべきこととなるが、そのような場合であっても、民訴法3条の9は、特別の事情があるときには訴えを却下をする旨定めているので、この規定の適用が問題となる。本件においては、本件訴えは代金請求権に基づくものであり、その支払予定地は甲国であり、契約交渉等、商品の引渡し等もすべて甲国で行われており、Yとしては来日して応訴することの負担はXが甲国に出向いて提訴する負担に比べて大きく、本件の代金不払いの理由は不明であるものの、Xが納品した商品の欠陥等が理由であることもあり得る一方、代金を受け取っていないXの事務所所在地である日本に重要な証拠があるとは思われないことから、証拠の所在という点でも甲国で裁判する方が迅速な審理の実現に繋がると考えられる。したがって、「日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を害し、又は適正かつ迅速な審理の実現を妨げることとなる特別の事情があると認める」べきであり、訴えは却下すべきである。

2 準拠法

8.          Xの訴えは、本件契約に基づく代金支払請求又は本件契約上の債務の不履行による損害賠償の請求であり、本件契約に基づくか、それに関連するものであるので、本件契約の準拠法が問題となる。

9.          本件契約の交渉中に準拠法条項をめぐっては対立があり、合意できなかった経緯があることから、通則法7条のもとでの当事者の黙示の意思の一致は認められない。したがって、通則法8条による客観連結によることになる。81項によれば、契約の準拠法は当該契約の最密接関係地法とされ、同条2項は、特徴的給付をするのが一方の当事者である場合にはその当事者の常居所地又は関係事務所所在地と推定する旨定めている。

10.      本件契約をみるに、これは単純な売買契約ではなく、「Yのデザインや仕様に基づきXが衣料品を日本において製作してYに販売する旨の契約」であることから、Yは代金を支払うだけではなく、一定の給付をする義務を負っており、完成した商品の売主であるXのみが特徴的給付を行うとは言えない。したがって、82項の推定規定によることはできず、同条1項の最密接関係地を見出すほかない。そこで、本件の事情に照らすと、上記7で述べた事実等があることから、本件契約は甲国に関係する度合いが日本に関係する度合いよりも大きいというべきである。したがって、本件契約の準拠法は81項により甲国法である。

Copilot:

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日本の裁判所の国際裁判管轄権

日本の裁判所が国際裁判管轄権を有するかどうかは、主に以下の要素を考慮して判断されます。

当事者の所在地:

Xは日本法人であり、日本に本店を有しています。

Yは甲国法人であり、日本に営業所を有しています。

契約の履行地:

本件契約には、商品の引渡しと代金の支払は甲国で行う旨の条項がありますが、Xは日本で製作した商品を甲国に引き渡しています。

日本の民事訴訟法:

日本の民事訴訟法では、被告の住所地や契約の履行地が日本国内にある場合、日本の裁判所が管有することが一般的です。

以上の要素を考慮すると、Yが日本に営業所を有していることや、Xが日本法人であることから、日本の裁判所が国際裁判管轄権を有する可能性が高いです。

適用すべき準拠法

本件契約において、契約準拠法についての明示的な合意がないため、国際私法の規定に基づいて準拠法を決定する必要があります。

契約の交渉過程:

Xは日本法を主張し、Yは甲国法を主張していましたが、合意には至りませんでした。

契約の履行地:

商品の引渡しと代金の支払は甲国で行う旨の条項があるため、甲国法が適用される可能性があります。

国際私法の原則:

日本の国際私法(法の適用に関する通則法)では、契約の成立及び効力に関する準拠法は、当事者が選択した法によるとされていますが、選択がない場合は契約に最も密接な関係がある国の法が適用されます。

以上を踏まえると、本件契約は甲国での履行が予定されているため、甲国法が適用される可能性が高いです。ただし、具体的な事実関係や契約の内容によっては、日本法が適用される場合も考えられます。

1問設問1小問2

〔小問2〕

Xが訴え1を提起したのは2023年8月10日であった。また、本件契約には、「甲国法を準拠法とする。」との条項及び「代金支払地は日本とする。」との条項が置かれていた。

甲国民事訴訟法には「売買契約上の債権に基づく訴訟は、権利を行使することができる時から3年以内に提起されなければならない。」との規定があるところ、Yは、訴え1の提起が支払期日から3年が経過した後にされているのでXの請求は認められないと主張している。

訴え1について、日本の裁判所の国際裁判管轄権が認められるものとして、Yの上記主張が認められるかを論じなさい。

道垣内:

11.      甲国の民事訴訟法によれば、売買契約上の債権に基づく訴訟は権利行使時から3年以内しか提起することができない旨の規定がある。比較法的には、実体法としての消滅時効制度を有する法域と、手続法としての出訴期限制度を有する法域とがあり、甲国は後者の法域の一つであると思われる。一国の実体法上の消滅時効のルールが適用されるのは、当該国の法が準拠法である場合に限られるのに対し、出訴期限法の場合には、いずれの国の法が債権の準拠法であっても、その適用を受ける点で異なっている。<こんなことを書く必要はありません。>

12.      日本の国際私法上、債権が期間の経過により行使できなくなるか、それはどれくらいの期間かといった問題は当該債権の準拠法によるとされ、それが契約債権であれば当該契約の準拠法による。本件契約には甲国法を準拠法として指定した条項があることから、通則法7条により、当該契約の準拠法は甲国法である。したがって、甲国法にこの問題に関するルールがあれば、それによる。

13.      上記1の通り、甲国法上は民事訴訟法において訴えを提起できる期間として、いわゆる出訴期限が定められており(民法等の実体法には消滅時効等に関する規定はないことを前提とする。)、この規定は手続法であって、甲国で裁判がされる場合にのみ適用されるとも考えられる。しかし、日本の国際私法からみれば、それは実体法上の消滅時効類似のものとして適用すべきである。そうでなければ、甲国法を準拠法とする債権は外国においては期間の経過によって消滅することのないものとなってしまうからである。したがって、本件において、甲国法を準拠法とする日本の国際私法上、当該債権の準拠法の一部に甲国民事訴訟法の上記規定が含まれると解される。

14.      本件においては、2020年5月25日に商品を引渡し、その翌月末日、すなわち、同年6月末日が代金債権を行使できる日であるので、本件訴え1を提起した2023年8月10日には、すでに3年以上を経過している。したがって、本件債権は消滅時効が完成し、Xの請求は認められないと解される。

Copilot:

回答を生成しています…

このケースについて、日本の裁判所の国際裁判管轄権が認められるかどうか、そしてYの主張が認められるかどうかを検討します。

1. 日本の裁判所の国際裁判管轄権➡これは問われていない。

まず、日本の裁判所がこの訴訟について国際裁判管轄権を有するかどうかを確認します。以下の点が重要です:

契約の履行地:本件契約には「代金支払地は日本とする」との条項があり、これは日本が契約の履行地であることを示しています。したがって、日本の裁判所はこの契約に基づく訴訟について管轄権を有する可能性が高いです。

営業所の存在:Yは日本に営業所を有しており、日本での取引も行っています。これも日本の裁判所が管轄権を有する根拠となり得ます。

2. Yの主張の検討

次に、Yの主張について検討します。Yは、甲国民事訴訟法の規定に基づき、訴え1が支払期日から3年を経過した後に提起されたため、Xの請求は認められないと主張しています。

準拠法の適用:本件契約には「甲国法を準拠法とする」との条項があります。したがって、甲国法が適用されることになります。

時効の適用:甲国民事訴訟法には「売買契約上の債権に基づく訴訟は、権利を行使することができる時から3年以内に提起されなければならない」との規定があります。Xが訴えを提起したのは2023年8月10日であり、支払期日は2020年6月末日ですので(➡事実関係はよく理解できています。)、3年を経過しています。

結論

以上の点を総合すると、日本の裁判所は国際裁判管轄権を有する可能性が高いですが、Yの主張する時効の問題により、Xの請求は認められない可能性が高いです。したがって、Yの主張が認められる可能性が高いと言えます。

このようなケースでは、具体的な法的助言を得るために専門の弁護士に相談することをお勧めします。何か他にご質問があれば、お知らせください。

1問設問2

〔設問2〕

本件契約には、「甲国法を準拠法とする。」との条項及び紛争解決について「この契約から又はこの契約に関連して、当事者間に生ずる可能性のある全ての紛争について、乙国を仲裁地とする仲裁により最終的に解決することに合意する。」との条項が置かれていた。

Xは、YではなくAを被告として、Xを欺罔して契約をさせてXに損害を被らせたと主張して、不法行為に基づく損害賠償を求める訴え(以下「訴え2」という。)を日本の裁判所に提起した。

この訴訟において、Aは、XとYとの間の仲裁合意の効力はXとAとの間の訴訟にも及ぶと主張して、仲裁法第3条第2項、第14条第1項に基づき、訴え2の却下を求めた。裁判所は、Aの主張を認めて訴え2を却下した。この場合において、裁判所の判断の過程を説明しなさい。

なお、甲国法及び乙国法のいずれにおいても、契約に関連する「全ての紛争」には当該契約に関連する不法行為に基づく請求も含まれると解されているところ、甲国法では法人の締結した仲裁合意の効力は法人の代表者にも及ぶとされているが、乙国法では法人の締結した仲裁合意の効力は法人の代表者に及ぶことはないとされている。

道垣内:

15.      日本の裁判所において、仲裁合意の存在が妨訴抗弁として主張された場合、最高裁判例によれば、その仲裁合意が及ぶ範囲(仲裁合意の当事者間だけに及ぶのか、それを超えてどの範囲の者に及ぶかという主観的範囲を含む。)については当該仲裁合意の準拠法により定めるとされ、その準拠法の決定は国際私法(現在であれば通則法)によるとされている。その理由は、実際に仲裁申立てがされた場合に、仲裁合意が及ぶ範囲内であるとされ、仲裁がされることと、訴え提起に対して、仲裁合意が存在し、その効力が及ぶことを理由とする妨訴抗弁が認められることとは表裏の関係にあり、食い違いがあってはならないからであるとされている。すなわち、仲裁合意の範囲を定める準拠法を法廷地法により定めるとすると、仲裁申立てと訴え提起とが異なる法域で行われる場合には仲裁合意の範囲に含まれるか否かについて食い違いが生じる恐れがあり、そうすると、たとえば仲裁合意の対象外として仲裁が認められないとされた後に、訴えを提起すると仲裁合意の範囲内として訴えが却下されるという不都合が生じてしまう。この点、当該合意の準拠法であるとすれば、この食い違いが生じないようにすることができ、このように解すれべきである。

16.      本件において、乙国を仲裁地とする仲裁による紛争を解決する合意を含む本件契約には、甲国法を準拠法として指定する準拠法条項があり、通則法7条によれば、本件契約の準拠法は甲国法であり(なお、仲裁に関するニューヨーク条約に照らしても、この結論は支持される。)、本件仲裁合意の準拠法も、その合意の準拠法を別に定めているといった特段の事情がない限り、契約の一部として、甲国法である。

17.      本件訴え2は、XYの社長であるAに対して提起したものであり、仲裁合意の当事者であるXY間の訴訟ではない。そのため、本件仲裁合意の存在を理由とする妨訴抗弁が認められるか否かは、本件仲裁合意の主観的範囲にAも含まれるか否かによる。この点、甲国法によれば、法人の締結した仲裁合意の効力は法人の代表者にも及ぶとされている。したがって、本件の仲裁地は乙国が予定されているが、仲裁法32項によれば、同法141項は日本が仲裁地でない場合にも適用されるので、本件仲裁合意はXAに対して提起した本件訴え2に対する妨訴抗弁として認められ、本件訴え2は却下される。

18.      なお、仲裁合意の客観的範囲についても、甲国法によれば、契約に関連する不法行為請求は当該契約から又は当該契約に関連して当事者間に生ずる可能性のある全ての紛争に含まれるとされているので、この点でも問題はない。

19.      以上が、裁判所が本件訴え2を却下する判断をした過程である。

Copilot: 上記問題のうち、取消線を付けた部分を末尾に移動させて質問して得た回答

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裁判所が訴え2を却下した判断の過程を説明します。

仲裁合意の範囲:

本件契約には「甲国法を準拠法とする」との条項があり、甲国法では契約に関連する「全ての紛争」には不法行為に基づく請求も含まれると解されています。

したがって、XがAに対して提起した不法行為に基づく損害賠償請求も、本件契約に関連する紛争として扱われます。

仲裁合意の当事者への適用:

甲国法では、法人の締結した仲裁合意の効力は法人の代表者にも及ぶとされています。

AはYの代表者であり、Yが締結した仲裁合意の効力がAにも及ぶと解されます。

仲裁法の適用:

日本の仲裁法第3条第2項および第14条第1項に基づき、仲裁合意が存在する場合、裁判所は訴訟を却下し、仲裁に付託することが求められます。

Aは、XとYとの間の仲裁合意の効力がXとAとの間の訴訟にも及ぶと主張し、これに基づいて訴え2の却下を求めました。

裁判所の判断:

裁判所は、甲国法に基づき、Yの締結した仲裁合意の効力がAにも及ぶと判断しました。

また、契約に関連する「全ての紛争」に不法行為に基づく請求も含まれると解されるため、Xの提起した訴え2も仲裁合意の範囲内にあると認定しました。

これにより、仲裁法第3条第2項および第14条第1項に基づき、訴え2を却下することが適当であると判断しました。

このようにして、裁判所はAの主張を認め、訴え2を却下しました。➡この答案はほぼ正解といってよいものです。

 

2問設問1小問1

〔第2問〕(配点:50)

A(日本国籍)及びB(甲国籍)は、出生以来日本に居住している者で、日本で婚姻した夫婦である。

Cは、日本においてD(乙国籍)が未婚のまま出産した子であり、出生により乙国籍を取得した。Cの実父は不明である。Dは日本においてCを養育してきたが、その養育が困難となったため、Cを養子縁組によって養親に養育してもらうことを希望している。

A及びBは、事情により生みの親のもとでは暮らせない子を養子に迎え入れようと考え、養子縁組あっせん事業者から現在5歳のCとの養子縁組のあっせんを受けた。

A及びBは、Cとの間で、実親との親族関係が断絶する養子縁組(以下「本件養子縁組」という。)をしたいと考え、東京家庭裁判所に対し、Cの特別養子適格の確認の申立て及びCとの特別養子縁組成立の申立てをした。これらの申立てについて、日本の裁判所の国際裁判管轄権は認められるものとする。

以上の事実を前提として、以下の設問に答えなさい。

設問1

Dは、熟慮の上で、本件養子縁組について同意している。また、養子縁組に関し、甲国法は、裁判所の決定で成立し、実方の血族との親族関係が終了する縁組の規定のみを有し、乙国法は、身分登録吏に養子縁組を届け出ることによって成立し、実方の血族との親族関係が終了しない縁組の規定のみを有するものとして、以下の小問に答えなさい。なお、〔小問1〕と〔小問2〕は独立した問いである。

〔小問1〕

本件養子縁組を成立させるに当たり、養子縁組の成立に関する甲国法及び乙国法の要件を満たす必要はあるかについて論じなさい。なお、乙国法は、養子縁組の準拠法の選択について日本法と同内容の規定を有しているが、甲国法には次の規定が存在する。

【甲国法】

@ 甲国の裁判所は、養子となるべき者が甲国に常居所を有するときは、甲国法により、養子縁組を成立させる決定をすることができる。

道垣内:

20.      本件ではABCとの間で夫婦共同養子縁組をしようとしているところ、通則法上、そのような場合であっても、ACの養子縁組とBCの養子縁組とに分けて準拠法の決定がされる。

21.      ACの養子縁組については、通則法311項により養親Aの本国法である日本法が養子縁組の準拠法となる(同条2項により、Cとその実親であるDとの親族関係の終了も養親組成立時のAの本国法である日本法による。)。したがって、日本法の定める要件を満たす必要がある。そのうち特に重要なのは、本件においてAが望んでいる断絶型養子縁組(日本民法上の特別養子縁組)をするためには夫婦共同養子縁組でなければならない点であり(民法817条の3)、後述するBCの養子縁組の成立が条件となるという点である。

22.      また、ACの養子縁組が日本法上成立するとしても、通則法31条条1項後段のセーフガード条項により、養子の本国法である乙国法上、「その者若しくは第三者の承諾若しくは同意又は公的機関の許可その他の処分があることが養子縁組の成立の要件であるときは」、それらの要件を具備する必要がある。

23.      ところで、セーフガード条項により外国法を適用する場合にも反致を定める通則法41条が適用されるか、という論点があり、これについてはセーフガード条項も当事者の本国法を適用するものであるので反致の成否はチェックすべきであるとの見解もあるが、@セーフガード条項の趣旨は、311項前段が養親の本国法のみで養子縁組の成立を認める点で養親側に一方的に偏った準拠法決定である点についてバランスをとるため、養子の本国法が定める特定の要件(それらは一般的に養子の保護のためであると推定される。)の具備を要求するという特別の目的を有していること、A養子の本国法を準拠法として定めるものではなく、養子の本国法の特定の部分のみを適用する点で通則法41条による反致を検討すべき他の場合と異なること、B反致という制度自体に国際私法上得るものがないとの批判もあること等から、セーフガード条項については、あえて通則法41条の適用対象とすべきではないと解される。本件では、いずれにしても、乙国国際私法は、養子縁組については通則法と同じ内容の規定であるので、反致は問題とならない。したがって、乙国法上、セーフガード条項が定める事項を養子縁組の成立要件としていれば、その事項については乙国法の定める要件を満たさなければならない。<乙国国際私法について問題文に記載がないので、触れる必要はないとも考えられます。>

24.      他方、BCの養子縁組については、通則法311項により養親Bの本国法である甲国法が適用される。甲国法は断絶型養子縁組を認めていないので、甲国法によればCDとの親族関係は終了しない。

25.      もっとも、甲国法には、甲国法@というルールがある。この規定は手続法の観点から定めるものであるが、これを国際私法の規定として理解するという見解がある。それによれば、甲国に養子の常居所地があれば甲国裁判所は甲国法を適用するということを一般化(双方化)し、外国で裁判される場合にまで拡大して読むと、隠れている国際私法ルール、すなわち、養子の常居所地法によるという国際私法ルールが見えてくるとし、養子縁組は養子の常居所地法によるという国際私法規定が甲国法には存在すると理解するのである。この見解はドイツ発祥であり、日本でも学説上広く受け入れられ、これに従った裁判例は相当数に及ぶ。

26.      6で述べたように、隠れた反致を認めるべきであり、本件では、Bの本国法である甲国の国際私法が養子の常居所地法によると定めており、本件ではCDとともに日本に居住していることからCの常居所地国は日本である。したがって、通則法41条により、BCの養子縁組については日本法によることになる。

27.      BCの養子縁組についても通則法311項後段のセーフガード条項の適用が問題となるところ、この点については上記34で述べたところと同様に、結論としては、乙国法上、セーフガード条項が定める事項を養子縁組の成立要件としていれば、その事項については乙国法の定める要件を満たさなければならない。

28.      以上により、第2問・設問1・小問1の「養子縁組の成立に関する甲国法及び乙国法の要件を満たす必要はあるか」については、A・Cの養子縁組については、Aの本国法である日本法上の要件具備に加え、セーフガード条項による乙国法の一定の事項に関する要件の具備が必要であり、B・Cの養子縁組については、Bの本国法からの反致により適用される日本法上の要件具備に加え、セーフガード条項による乙国法の一定の事項に関する要件の具備が必要となる。すなわち、甲国法の要件具備は不要である。

Copilot: 上記問題のうち、取消線を付けた部分以外の部分について得た回答

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本件養子縁組を成立させるにあたり、甲国法及び乙国法の要件を満たす必要があるかについて論じます。

1. 法的手続きの違い

まず、甲国法と乙国法の違いを確認します。甲国法では、養子縁組は裁判所の決定によって成立し、実方の血族との親族関係が終了します。一方、乙国法では、身分登録吏に養子縁組を届け出ることによって成立し、実方の血族との親族関係は終了しません。

2. 両国の要件を満たす必要性

このような違いがある場合、養子縁組を成立させるためには、両国の要件を満たす必要があります。➡通則法311項は養親と養子の本国法の累積適用を定めているわけではない。同条によれば、上記7の通りである。。具体的には、以下の点を考慮する必要があります。

3. 法的手続きの違い:

甲国法では裁判所の決定が必要であり、乙国法では身分登録吏への届け出が必要です。したがって、養子縁組を成立させるためには、両国の手続きを踏む必要があります。

4. 準拠法の選択:

乙国法は日本法と同内容の規定を有しているため、準拠法の選択が可能です。したがって、養子縁組を成立させる際には、どちらの法を準拠法とするかを選択することができます。➡間違い。

以上の点を踏まえると、本件養子縁組を成立させるためには、甲国法及び乙国法の要件を満たす必要があります。具体的には、裁判所の決定と身分登録吏への届け出の両方を行い、親族関係の終了についても両国の規定を考慮する必要があります。➡間違い。

何か他にご質問があれば、お知らせください。

2問・設問1・小問2 (1)

〔小問2

本小問において反致は成立しないものとする。また、養子縁組の成立の要件に関し、甲国法には日本法の特別養子縁組と同内容の規定が存在し、乙国法には日本法の普通養子縁組と同内容の規定が存在するほか、甲国法及び乙国法にはそれぞれ次の規定が存在する。

【甲国法】

A 養親は養子と6か月以上同居して試験養育した上で、その結果について甲国で公認されたソーシャルワーカー(児童福祉司)による報告書の提出が必要である。

【乙国法】

B 養子縁組について養親の10歳以上の嫡出子の同意が必要である。

本件養子縁組を成立させるに当たり、甲国法Aの要件をどのように満たせばよいかについて論じなさい。

道垣内:

29.      小問1について述べたように、ACの養子縁組とBCの養子縁組とに分けて準拠法の決定がされ、A・Cの養子縁組については、Aの本国法である日本法の要件具備に加え、セーフガード条項による乙国法の一定の事項に関する要件の具備が必要であり、B・Cの養子縁組については、Bの本国法からの反致により適用される日本法の要件具備に加え、セーフガード条項による乙国法の一定の事項に関する要件の具備が必要となる。

30.      このことから、本件の養子縁組に対して甲国法が適用されるのは、BCの養子縁組について、養親Bの本国法としてであるところ、問題文の甲国法Aのうち、BCとの6か月以上の試験養育はこの通り満たさなければならない(この要件は日本法上断絶型養子縁組、すなわち特別養子縁組の成立においても、民法817条の8は家庭裁判所は「特別養子縁組を成立させるには、養親となる者が養子となる者を六箇月以上の期間監護した状況を考慮しなければならない。」と定められていることから、本件養子縁組と日本との関連性は極めて大きいことは確かであるが、甲国法Aの適用結果が通則法42条の公序に反するほどに乖離するということは考えられず、公序違反となることはないと考えられる。)<このような言及は不要でしょう。>

31.      他方、甲国法Aのうち、6か月以上の養親・養子が同居しての試験養育の「結果について甲国で公認されたソーシャルワーカー(児童福祉司)による報告書の提出が必要」と定める部分を日本においてどのように扱うかについては、甲国で公認されたソーシャルワーカー(児童福祉司)が報告書作成のためにする観察行為は公権力行使の一部を担うものであると考えられることから、仮にそのようなソーシャルワーカーが日本での試験養育状況を観察することが可能であるとしても、日本国としてはそのような行為を日本の領域内ですることを認めることはできない。そこで、どうするかについては、3 つの処理方法があり得る。すなわち、(a)この要件具備はできないので、BCの養子縁組を認めない、(b)日本では民法817条の2及び817条の8に定める通り、家庭裁判所が特別養子縁組を認める決定をする際に、6か月以上の監護した状況を考慮することが定められており、日本では甲国のソーシャルワーカーの役割を家庭裁判所が代行することでよいとする、(c) 甲国法Aのうち、甲国のソーシャルワーカーの観察・報告書提出という部分は公法規定であって、日本では適用されず、この要件は具備しなくても差し支えないと扱う、以上の3つの選択肢である。思うに、試験養育によって判明する養親と養子の適合度の判断は実体法上のものであり、準拠法に従うべきであるが、手続問題はそもそも準拠法に送致されてはおらず、法廷地法に従えばよいと考えられる。したがって、上記の選択肢のうちの(b)の通り、断絶型養子縁組についての試験養育状況をチェックして報告書を作成するという部分は手続問題として日本では家庭裁判所自身の判断に委ねられると考えられる

32.      以上により、日本の家庭裁判所としては、甲国法Aの定めるところに従い、養親に養子と6か月以上同居して試験養育させ、家庭裁判所がその結果を評価して、養子縁組の可否の判断をすることになる。

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本件養子縁組を成立させるためには、甲国法Aの要件を満たす必要があります。具体的には、以下の手順を踏むことが求められます。

1. 同居期間の確保:

A及びBは、Cと少なくとも6か月以上同居し、試験養育を行う必要があります。この期間中に、Cが新しい環境に適応し、A及びBがCの養育に適しているかを確認します。

2. ソーシャルワーカーの関与:

同居期間中または終了後、甲国で公認されたソーシャルワーカー(児童福祉司)が定期的に訪問し、Cの生活状況やA及びBの養育状況を観察・評価します。

3. 報告書の作成と提出:

ソーシャルワーカーは、同居期間中の観察結果を基に報告書を作成します。この報告書には、Cの適応状況、A及びBの養育能力、家庭環境などが詳細に記載されます。

作成された報告書は、甲国の関係当局に提出され、養子縁組の適否が判断されます。➡日本で行われる試験養育について、甲国のソーシャルワーカーが観察して報告書をまとめることを日本国として認めるのかという問題が存在するとの認識がない。

これらの手順を踏むことで、甲国法Aの要件を満たし、本件養子縁組を成立させることが可能となります。養子縁組のプロセスは複雑ですが、Cの最善の利益を考慮し、慎重に進めることが重要です。➡国際私法の検討がゼロ。

2問・設問1・小問2 (2)

(2) Aは、以前に婚姻していたEとの間に、その婚姻中に子Fをもうけていた(Fは、A及びEの嫡出子であるものとして、嫡出親子関係の成否について論じる必要はない。)。しかし、Aは、Eと10年前に、Fの親権者をEと定めて離婚した。その後、現在まで、Fは、Eと暮らしており、Aとの交流はなかった。Fは、現在12歳である。Aは、Eに対し、本件養子縁組についてFの同意を得るために連絡したが、EがFに本件養子縁組について伝えることをかたくなに拒んだため、Fの同意は得られていない。Fの同意が得られないまま、本件養子縁組を成立させることはできるかについて論じなさい。

道垣内:

33.      小問1について述べたように、ACの養子縁組とBCの養子縁組とに分けて準拠法の決定がされ、A・Cの養子縁組については、Aの本国法である日本法上の要件具備に加え、セーフガード条項による乙国法の一定の事項に関する要件の具備が必要であり、B・Cの養子縁組については、Bの本国法からの反致により適用される日本法上の要件具備に加え、セーフガード条項による乙国法の一定の事項に関する要件の具備が必要となる。

34.      このことから、養子縁組について養親の10歳以上の嫡出子の同意が必要であると定める乙国法Bの規定は、ACの養子縁組及びBCの養子縁組の双方について、通則法311項後段のセーフガード条項により適用され、Aの嫡出子の同意が得られない以上、AC及びB・Cの養親縁組がともに成立要件を欠いて成立しないということになるか、が問題となる。

35.      通則法311項後段のセーフガード条項は、同項前段が養親の本国法のみにより養子縁組の成立を認めることとのバランス上、養子縁組成立に係る子の本国法上の一定の要件の具備を要求するものである。それによれば、「その者[養子]若しくは第三者の承諾若しくは同意又は公的機関の許可その他の処分があることが養子縁組の成立の要件であるときは」これらの要件をも備えなければならないと定めている。本件において問題となるのは、養親Aが離婚した元配偶者との間でもうけた12歳になる嫡出子Fが、「第三者」に該当するか否かである。なお、乙国法自体の解釈として、本件のように養子との同居が予定されていないFのような者は、同意を要する者から排除するという解釈がされる可能性はあり得るものの、ここでは乙国では条文通り、Fの同意を要するとされていることを前提とする。<このような記載は不要でしょう。>

36.      これについて、このセーフガード条項は、養子の保護のために立った判断をすると思われる者(機関を含む。)が養子縁組に反対又は不許可等をする場合にのみ、当該養子縁組を不成立にするという趣旨であると理解し(また、Fのような立場の者がCが養子になることについて意見を言うことができるのは偶々乙国法が適用されることになったからであり、期待可能性がないとの理由も付加されることがある。)、これに該当しない者の反対は排除し、「第三者」には含まれないとの見解がある。また、この見解Aを支える本件の事情として、FCとが同居することを予定している場合には、両者間の折り合いの点でFの同意は一定の意味があるものの、同居予定のないFの同意はCのためにはならないと考えられるとの事情もあろう。

37.      しかし、上記の見解に対しては、そのような限定解釈は解釈としての限界を超えているとし、条文通り、乙国法Bの定めるAの嫡出子Fの同意がないことは、セーフガード条項が定める「第三者」の同意がないことになるとの見解をとり、本件のACの養子縁組及びBCの養子縁組は双方とも認められないとする見解もあり得る。下級審裁判例の中には、上記6記載の条文通りの解釈をしたものがあることから、この見解をとるべきである。

38.      もっとも、上記の裁判例では、条文通りの適用により養子縁組が認められないとの結果は、通則法42条が定める公序に反するとしている。本件においても、上記5の養子縁組を認めないという結果が公序に反しないか否かを検討する必要がある。本件では、日本法に照らせば本件養子縁組はいずれも認められると考えられることから乙国法Bの適用は正反対の結果をもたらす点で乖離度が大きいと言える上に、本件では日本で養親・養子の生活が営まれることが予定されていることから日本との関連性は十分に大きいというべきであることから、乙国法の適用結果を覆し、本件におけるACの養子縁組及びBCの養子縁組はいずれも認められると解される。

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この問題について考える際には、以下の点を考慮する必要があります。

1. 乙国法の規定

乙国法では、養子縁組について養親の10歳以上の嫡出子の同意が必要とされています。この規定に基づくと、Aの以前の婚姻から生まれた12歳の子Fの同意が必要です。

2. Fの同意の状況

Aは、Fの同意を得るために連絡を試みましたが、Fの親権者であるEFに本件養子縁組について伝えることを拒んだため、Fの同意を得ることができませんでした。

3. 法的解釈

乙国法の規定に従うと、Fの同意が得られない場合、本件養子縁組を成立させることは難しいと考えられます。乙国法は明確に「養親の10歳以上の嫡出子の同意」を要件としているため、この要件を満たさない場合、養子縁組は成立しない可能性が高いです。➡乙国法が適用される根拠が示されていない。乙国法をそのまま適用しているにすぎない。

4. 例外や特別な措置

ただし、特定の状況や例外が存在する場合、裁判所が特別な措置を講じる可能性も考えられます。例えば、Fの同意が得られない理由が合理的であり、かつ養子縁組がCの最善の利益にかなうと判断される場合、裁判所が特別な判断を下すこともあり得ます。➡このような例外的な措置の根拠は示されていない(生成AIが法律の議論では、「合理的」といった一般的な用語を用いて、このような例外的な解釈があり得ると理解していることを示してるように思われる。)。

結論

現状では、Fの同意が得られないため、乙国法の規定に基づくと本件養子縁組を成立させることは難しいと考えられます。しかし、具体的な状況や裁判所の判断によっては、例外的に認められる可能性もあるため、詳細な法的助言を求めることが重要です。

このような複雑な法的問題については、専門の弁護士に相談することをお勧めします。何か他にお手伝いできることがあれば教えてください。

2問・設問2・小問1

〔小問1〕

録画の方法によっていることで本件遺言が無効とされるかについて論じなさい。なお、甲国法及び丙国法にはそれぞれ次の規定が存在する。

なお、甲国法及び丙国法にはそれぞれ次の規定が存在する。

【甲国法】

C 遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。

【丙国法】

D1 遺言は、自筆証書、公正証書、秘密証書又は録画によってしなければならない。

録画による遺言は、遺言者が遺言の趣旨、その氏名と年月日を口述して、これに参与した証人が、遺言が正確である旨とその氏名を口述しなければならない。

道垣内:

39.      遺言の方式の準拠法に関する法律(以下「法」という。)2条によれば、遺言の方式は、以下のいずれかの法律に適合すれば、方式上有効に成立すると定められている。

一 行為地法

二 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法

三 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法

四 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法

五 不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法

40.      録画を遺言の方式と定める丙国法が本件遺言の方式に適用されるか否かを検討する。まず、Bの国籍は甲国であるので、法22号では丙国法は準拠法とされない。また、Bが丙国にいたのは長期休暇中のことであり、いかに頻繁に丙国を訪れていたとはいえ、丙国はBの住所とも常居所とも言えず、法23号・4号では平国法は準拠法とされない。さらに、本件の遺言は不動産の帰属も含まれているが、その不動産は日本所在であって、5号により丙国法が準拠法となることもない。<この部分はなくてもよいと思われます。>

41.      以上と異なり、Bによる遺言の録画は、丙国のホテル内でされたものであることから、丙国は行為地であり、法21号により準拠法となる。そして、本件におけるBによる遺言の録画は、丙国法上、録画による遺言を適式なものとする要件である丙国法B2の要件をすべて満たしている。

42.      以上により、Bによる遺言は方式上有効である。

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本件遺言が録画の方法によっていることで無効とされるかについて論じます。

まず、甲国法と丙国法の規定を確認します。

甲国法では、遺言は自筆証書、公正証書、または秘密証書によって行わなければならないとされています。録画による遺言は認められていません。

一方、丙国法では、遺言は自筆証書、公正証書、秘密証書、または録画によって行うことができるとされています。録画による遺言の場合、遺言者が遺言の趣旨、その氏名と年月日を口述し、証人が遺言が正確である旨とその氏名を口述する必要があります。

本件遺言は、丙国で録画されたものであり、丙国法に従って作成されています。録画には、遺言者であるBが氏名、撮影日、および遺言の内容を口述している様子が記録されており、同席した友人Rが遺言が正確である旨とその氏名を口述しています。したがって、丙国法の要件を満たしていると考えられます。

次に、遺言の有効性を判断するためには、準拠法を確認する必要があります。本件では、Bが丙国で遺言を作成しているため、丙国法が準拠法となる可能性が高いです。➡根拠(条文等)が示されていないが、結論は正しい。丙国法に基づく場合、本件遺言は有効とされるでしょう。

したがって、本件遺言は録画の方法によっていることで無効とされることはないと考えられます。

何か他にご質問やご不明点があれば、お知らせください。

2問・設問2・小問2

〔小問2

甲国法には遺留分制度はあるが、日本法とは遺留分額が異なっており、丙国法には遺留分制度が存在しない。Cの請求には、いずれの国の法が適用されるかについて論じなさい。

道垣内:

43.      遺留分の問題は、相続分の被相続人による変更を制限するものであり、相続の問題であると考えられる。したがって、通則法36条の単位法律関係である「相続」に含まれる。

44.      本件における被相続人Bの本国法は甲国法であり、遺留分については甲国法が適用されるところ、甲国法には遺留分制度があり、その内容は遺留分額が日本法のそれと異なっている。なお、平国法には遺留分制度はないとのことであるが、丙国はABP銀行との間の預金契約の準拠法であり、Bによる遺言作成の行為地ではあるが、遺留分については丙国法に送致されない。

45.      Cは、ABP銀行との間で預金契約を締結したこと及びその預金口座へBが日本所在のQ銀行から7000万円を送金したことがCの遺留分を侵害すると主張しているところ、被相続人であるBの本国法は上記の通り甲国法であるので、遺留分については甲国法が適用される。

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このケースにおいて、Cの遺留分侵害額請求に適用される法について考える際には、以下のポイントを考慮する必要があります。

1. 遺留分制度の有無と内容:

日本法: 遺留分制度が存在し、相続人に一定の財産を保証する制度があります。

甲国法: 遺留分制度が存在するが、日本法とは遺留分額が異なります。

丙国法: 遺留分制度が存在しません。

2. 準拠法の選定:

本件預金契約: 丙国法を準拠法とする条項が含まれています。したがって、預金契約に関する事項については丙国法が適用されます。

遺言: Bが丙国で作成した遺言に関しては、丙国法が適用される可能性があります。

3. 国際私法の観点:

日本の国際私法(法の適用に関する通則法)に基づくと、相続に関する事項は被相続人の本国法が適用されるのが原則です。Bは甲国籍であるため、甲国法が適用される可能性があります。

ただし、遺留分に関する請求は、相続財産が所在する国の法が適用される場合もあります。➡よくわからない表現です。詐害行為取消権のように、財産が本来あるべき地の法が適用されるということでしょうか。

以上を踏まえると、Cの遺留分侵害額請求に関しては、以下のように考えられます。

預金契約に関する部分: 丙国法が適用されるため、遺留分制度が存在しない丙国法に基づき、Cの請求は認められない可能性が高いです。

遺言に関する部分: Bの本国法である甲国法が適用される可能性が高く、甲国法に基づく遺留分制度によりCの請求が認められるかどうかが判断されます。

このように、Cの請求には、預金契約に関しては丙国法、遺言に関しては甲国法が適用されると考えられます。