東京大学法学部・大学院合併講義
講義名 国際民事訴訟法
国際民事紛争の処理の手続法的側面について講義する。たとえば、アメリカから日本に輸出された製品の欠陥が原因と思われる事故が発生した場合に生ずる次のような問題を対象とする。すなわち、被害者はどの国の裁判所に訴訟を提起できるのか、訴訟以外の紛争解決手段はあるか、日本での訴訟の場合、外国への送達や外国での証拠調べなどの局面でどのような問題があるのか、日本で判決が下された場合、その効力はアメリカではどのように扱われるのか、加害者であるアメリカ企業が倒産してしまった場合、倒産手続においてその企業の海外資産や日本の債権者はどのように扱われるのか、などの問題である。
講義においては、できるだけ、体系的な理解が可能なように配慮するが、他方、できるだけ具体的な事例を用いて、現実の紛争処理についても触れることができるようにしたい。
[講義目次]
1 はじめに
I 訴訟
2 裁判権・国際裁判管轄
3 訴訟手続上の問題
4 外国判決の承認・執行
5 国際的訴訟競合・判決の抵触
6 渉外仮差押・仮処分
II 仲裁・調停
7 国際商事仲裁
8 国際商事調停
III 倒産
9 国際倒産
[教科書]
- 道垣内『国際民事手続法[第4版]』(東大教材出版、1999)
[参考書]
- 澤木敬郎・青山善充編『国際民事訴訟法の理論』(有斐閣、1987)
- 渉外判例百選(第3版)(有斐閣、1995)
- 国際私法の争点(新版)(有斐閣、1996)