2004年度早稲田大学国際私法II

 

科目名

国際私法U

担当教員名

道垣内 正人

学部

法学部

系列種別

旧カリ:国際関係コース(選択1群)

単位数

2

配当年次

3年以上

学期・曜日・時限

秋学期 木1時限

講義内容

 国際私法Iの準拠 法決定・適用プロセスに関する国際私法総論の講義に引き続き、国際私法各論として、婚姻、親子等の家族法分野における個々の問題の準拠法決定ルールと、契 約、不法行為、債権譲渡などの財産関係の分野における個々の問題の準拠法決定ルールとを扱う。もっとも、復習をかねて、また国際私法Iを受講していない者 のためにも、国際私法総論のポイントは押さえた上で各論に入ることとする。
 できるだけ、具体的な裁判例等を用いて、問題の所在が明確に分かった 上で、それぞれの問題のポイントを講義する。契約の準拠法について、法例7条1項では当事者が準拠法を定めることができるとされているが、現実の契約実務 ではどのような条項がおかれているのか、どのような条項がトラブルを生じさせているのかといった分析を通じて、予防法学的な観点も取り入れていきたい。
  また、現在、国際私法の改正が進んでいるので、適宜、新しい立法の方向についても触れる。たとえば、法例12条は、債権譲渡の第三者に対する効力は債務者 の住所地法によると定めているが、債権流動化のスキームにおいて、一括上との対象とされる債権の債務者の住所地が異なる国に存在する場合には、このルール の下では対第三者対抗要件についてそれぞれの住所地法が適用されることになってしまうがそれでもよいか、困るとすればどのような立法が考えられるか、さら に、債権質、相殺等の問題との関連をどう考えるか等は重要な問題となっている。

授業計画

1.国際私法総論の基礎(サヴィニー型国際私法の全体像)
2.国際私法総論の基礎(準拠法決定・適用プロセス)
3.各論の全体像
4.婚姻
5.親子関係
6.相続
7.取引の安全
8.自然人の能力等
9.法人
10
.契約
11
.不法行為
12
.債権譲渡等
13
.物権

教科書

 道垣内正人『ポイント国際私法・各論』(有斐閣、2000年)

参考文献

 『国際私法判例百選』(有斐閣、2004年予定)、澤木敬郎・道垣内正人『国際私法入門〔第4版再訂版〕』(有斐閣、2000年)、山田鐐一『国際私法』(有斐閣、2003年)

評価方法

 筆記試験の成績による。

備考

 国際私法は国内法であるので、『六法』を必ず持参すること。
 国際私法Iで国際私法の考え方を講義するので、できる限り、Iを受講した上でIIを受講することが望ましい。
  国際私法を理解するには民法・商法の理解が前提となるが、必ずしもこれらの科目を完全にはマスターしていない受講者もいることを予期して、必要な限度でそれらの科目の基礎的なことは確認しつつ講義を進めることとする。国際民事訴訟法、国際取引法との関連が深い。国際法とは関連する論点は殆どない。

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