2005年度前期早稲田LS「国際私法応用演習」

担当:道垣内正人

<概要>

国際私法とは、世界各国の法律が異なる中で、国境を越える活動が営まれている状況において、権利義務や法律関係に最密接関係地の法律を適用するという方法により、国際社会に法秩序をもたらすことを目的とするものである。たとえば、不法行為についてはその原因事実発生地の法律を適用するという方法である。この例で「不法行為」を単位法律関係といい、原因事実発生地を連結点といい、単位法律関係と連結点の設定の仕方を通じて、最密接関係地法を導くのである。この演習では、このような他の法分野には見られない国際私法の方法論を深く理解し、日々登場する新たな法的問題に対処できる能力を養うことを目的とする。たとえば、インターネットを通じて著作権侵害が行われた場合、いずれの国の法律を適用すべきであろうか。このような問題に国際私法の論理を踏まえた解を与えることができるようになることが目標である。

毎回のテーマと素材となる裁判例、論文等を設定し、全員がこれを読んでくることを前提として、予め定めた報告担当者が特に掘り下げた研究を行いレジュメに基づいてする報告を出発点として、全員で議論する。

<講義の内容と進行>

第1講 準拠法の決定・適用の仕組み

第2講 単位法律関係と送致範囲

第3講 先決問題と適応問題

第4講 連結政策

第5講 不統一法国の扱い

第6講 反致

第7講 外国法不明の場合の措置

第8講 公序

第9講 契約と不法行為

第10講 債権譲渡等

第11講 物権

第12講 公法の国際的適用範囲

第13講 国際知的財産権法

第14講 インターネットと国際私法

第15講 まとめの討論

<他の授業との関連>

 「国際私法」と最も関連する。

<教科書・参考書>

櫻田嘉章・道垣内正人『ロースクール国際私法・国際民事手続法』(有斐閣、2005出版予定)の前半部分

道垣内正人『ポイント国際私法・総論』(有斐閣、1999)

道垣内正人『ポイント国際私法・各論』(有斐閣、2000)

<成績評価方法>

 担当する報告、全体にわたる議論を総合評価する。

<受講要件>

 特になし。

<受講者への要望>

 演習は参加者が作っていくものであるので、各人の積極的な参加が不可欠である。