「国際私法I2年 後期 2単位 道垣内正人

<概要>

国際化の進展に伴い国境を越えた法律関係の法的処理を安定的に行うことが重要となっている。国際的な法統一ができればベストであるが、実際に統一をすることは困難であり、家族法の分野では不可能であるばかりではなく、文化・宗教等の否定にもつながるため不適当であろう。そこで、各国の法律が異なることを前提に、一つ一つの具体的な事案に適用される準拠法を定めることにより法秩序を構築するという国際私法の方法が用いられている。日本では「法の適用に関する通則法」が準拠法決定ルールを定めている。本講義では、@法律関係の性質決定、A連結点の確定、B準拠法の特定、C準拠法の適用という準拠法の決定・適用の4つのプロセスを総論として扱い、かつ、講義の後半では、家族法各論として婚姻、親子関係、相続等を扱う。

<講義の内容と進行>

 教材として『ロースクール国際私法・国際民事手続法(2)』のUNIT 1 からUNIT 12までを用い、毎回、素材となる裁判例等を踏まえ、設問の部分を順次とりあげて議論する形で進める。そのivページ記載の「本書の使い方」を読み、自らの努力により、そのUNITについて一定のレベルまでに達した上で講義に臨むこと。OutlinePreparationIntroductionまではもちろん、原則として、Caseの事実関係/判旨についても講義では触れず、いきなりQuestionsに入ることになる。もちろん、その過程で、分からない点等を積極的に質問していただければ、丁寧に応えるつもりである。

 

国際私法総論 

 第1回 国際私法の意義

 第2回 単位法律関係(UNIT 1

 第3回 連結点(UNIT 2

 第4回 不統一法国(UNIT 3

 第5回 反致(UNIT 4

 第6回 公序(UNIT 5

 第7回 国籍(UNIT 6)

国際私法各論(家族法各論)

 第8回 婚姻(UNIT 7

 第9回 離婚(UNIT 8

 第10回 実親子関係(UNIT 9

 第11回 養親子関係(UNIT 10

 第12回 親子間法律関係(UNIT 11

 第13回 相続・遺言UNIT 12

 第14回 まとめ(事例分析)

 15回 まとめ(つづき)

UNIT」はすべて下記の『ロースクール国際私法・国際民事手続法(2)』のUNITである。

<他の授業との関連> 

 民法・民事訴訟法の基礎的な知識を必要とする。なお、国際私法各論のうち、財産法各論については国際私法応用演習において扱う。また、国際取引法、国際民事訴訟法、国際知的財産権法などをあわせて履修することにより、私法の分野における国際関係法の全体像が理解できるであろう。

<教科書・参考書>

基本的に次のものをテキストとする。

・櫻田嘉章・道垣内正人『ロースクール国際私法・国際民事手続法(第2版)』(有斐閣、2007

・澤木敬郎・道垣内正人『国際私法入門(6)(有斐閣、2006)

その他、参考書として、

・道垣内正人『ポイント国際私法・総論(第2版)』(有斐閣、2007

・道垣内正人『ポイント国際私法・各論(第2版)』(有斐閣、2007(200710月頃刊行予定)

・櫻田嘉章・道垣内正人『国際私法判例百選(新法対応補正版)』(有斐閣、2007

<成績評価>

 成績評価は、筆記試験による。

 試験の講評を行うため、インターネットを介して試験を行う予定である。

<受講要件>

 なし。

<受講者への要望>

 講義においてはソクラティック・メソッドをできるだけ用いるので、質疑応答、議論ができるような事前の準備が求められる。