「国際私法I 3期 2単位 道垣内正人

<概要>

国際私法とは、世界各国の法律が異なる中で、国境を越える活動が営まれている状況において、権利義務や法律関係に最密接関係地の法律を適用するという方法により、国際社会に法秩序をもたらすことを目的とするものである。たとえば、不法行為についてはその結果発生地法を適用するという方法である。この例で「不法行為」を単位法律関係といい、原因事実発生地を連結点という。単位法律関係と連結点の設定の仕方を通じて、最密接関係地法を導くのである。

この講義では、このような他の法分野には見られない国際私法の方法論を深く理解し、日々登場する新たな法的問題に対処できる能力を養うことを目的とする。たとえば、インターネットを通じて著作権侵害が行われた場合、いずれの国の法律を適用すべきであろうか。このような問題に国際私法の論理を踏まえた解を与えることができるようになることが目標である。

<講義の内容と進行>

 教材として『ロースクール国際私法・国際民事手続法(2)』を用い、毎回、素材となる裁判例等を踏まえ、設問の部分を順次とりあげて議論する形で進める。具体的には以下の通り。

○国際私法総論

第1回 準拠法の決定・適用の仕組み

第2回 単位法律関係と送致範囲

○国際私法各論(財産法)

第3 自然人・法人(UNIT 13)

第4 代理(UNIT 14)

第5 契約、法律行為の方式(UNIT 15)

第6 契約(つづき)

第7回 契約(つづき

第8回 法定債権(UNIT 16)

第9 法定債権(つづき)

第10 債権譲渡等(UNIT 17)

第11回 物権(UNIT 18)

第12回 知的財産権法(UNIT 19)

第13回 国際私法と公法。外国国家行為(UNIT 20)

第14回 まとめ(事例分析)

第15回 まとめ(つづき)

UNIT」はすべて下記の『ロースクール国際私法・国際民事手続法(2)』のUNITである。

<他の授業との関連> 

この講義は「国際私法I」の講義の続きという位置づけであり、両者によって国際私法における準拠法の決定・適用ルールの総論と各論の全体をカバーする。民法・民事訴訟法の基礎的な知識を必要とする。国際取引法、国際民事訴訟法、国際知的財産権法などをあわせて履修することにより、私法の分野における国際関係法の全体像が理解できるであろう。

<教科書・参考書>

基本的に次のものをテキストとする。

・櫻田嘉章・道垣内正人『ロースクール国際私法・国際民事手続法(第2版)』(有斐閣、2007

・澤木敬郎・道垣内正人『国際私法入門(6)(有斐閣、2006)

その他、参考書として、

・道垣内正人『ポイント国際私法・総論(第2版)』(有斐閣、2007

・道垣内正人『ポイント国際私法・各論(第2版)』(有斐閣、2007(200710月頃刊行予定)

・櫻田嘉章・道垣内正人『国際私法判例百選(新法対応補正版)』(有斐閣、2007

<成績評価>

 成績評価は、筆記試験による。

 試験の講評を行うため、インターネットを介して試験を行う予定である。

<受講要件>

 特になし。

<受講者への要望>

 演習は参加者が作っていくものであるので、各人の積極的な参加が不可欠である。