国際取引紛争処理法演習

担当:道垣内正人

<概要>

国際取引をめぐる紛争の処理手続に関する法について、主として裁判例を用いて議論する。中心的な紛争解決手段としての訴訟と仲裁を中心とし、また、紛争の処理ではないが、国際倒産法をも対象とする。

毎回のテーマと素材となる裁判例、論文等を設定し、全員がこれを読んでくることを前提として、予め定めた報告担当者が特に掘り下げた研究を行いレジュメに基づいてする報告を出発点として、全員で議論する。

<講義の内容と進行>

第1回 国際取引紛争処理の概略、取り上げるテーマの説明、報告者の決定

第2回 裁判権免除:最判平成18721(パキスタン事件)

第3回 国際裁判管轄1:最判昭和561016(マレーシア航空事件)

第4回 国際裁判管轄2:最判平成91111(ドイツでの自動車買付事件)

第5回 国際裁判管轄3(合意管轄):最判昭和501128(ハーグ管轄合意条約との比較)

第6回 国際裁判管轄4(債権差押命令事件の管轄):大阪高判平成10610

第7回 国際裁判管轄5(仮差押申立事件の管轄):旭川地判平成829

第8回 送達・証拠調べ:東京地判平成2326(送達条約10(a))

第9回 外国判決の承認執行1:最判平成10428(サドワニ事件)

第10回 外国判決の承認執行2:最判平成9711(懲罰的損害賠償判決の執行)

第11回 国際訴訟競合:東京地(中間)判平成元年5月30日

第12回 国際商事仲裁契約:最判平成平成994(リング・リングサーカス事件)

第13回 外国仲裁判断の承認執行:東京地判平成7619(中国の仲裁判断の執行)

第14回 日本での国際倒産処理手続と外国倒産処理手続への承認援助

第15回 つづき

<他の授業との関連>

 「国際民事訴訟法」と最も関連する。

<教科書・参考書>

参考書:高桑昭・道垣内正人編『国際民事訴訟法(財産法関係)(青林書院、2002)

小林秀之『国際取引紛争(3)(弘文堂、2003)

松浦馨・青山善充編『現代仲裁法の論点』(有斐閣、1998)

<成績評価方法>

 担当する報告、全体にわたる議論を総合評価する。

<受講要件>

 特になし。

<受講者への要望>

 演習は参加者が作っていくものであるので、各人の積極的な参加が不可欠である。