早稲田大学法科大学院2008年度夏「国際私法II」試験問題
ルール
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参考文献その他の調査を行うことは自由ですが、他人の見解を求めること及び他人の見解に従うことは禁止します。
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解答作成時間は自由ですが、解答送付期限は、2008年7月13日(日)21:00p.m.です。
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解答は下記の要領で作成し、[email protected]宛に、添付ファイルで送付してください。
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メールの件名は、必ず、「国際私法II」として下さい(分類のためです)。
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文書の形式は下記の通り。
・ A4サイズの紙を設定すること。
・ 原則として、マイクロソフト社のワードの標準的なページ設定とすること。
・ 頁番号を中央下に付け、最初の行の中央に「国際私法II」、次の行に右寄せで学生証番号と氏名を記載してください。
・ 10.5ポイント以上の読みやすいフォントを使用し、また、全体として読みやすくレイアウトしてください。
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枚数制限はありません。ただ、あなたが法律事務所のアソシエイトであり、パートナーからメモの作成を依頼されたと想定して、不必要に長くなく、内容的に十分なもの(判例・学説の適度な引用を含む。)が期待されています。
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これは、成績評価のための筆記試験として、100%分に該当するものにするものです。
問題
日本法人A社はポルトガル法人B社との間で、B社がスペイン法人C社から買い付けたスペイン産ワインを1000ダース購入する契約(本件契約)を締結した。本件契約には、代金決済についてはポルトガル法による旨の準拠法条項があったが、それ以外の事項については何ら定めもなかった。決済は無事完了し、船積みされたワインが日本に到着した。A社担当者はそのワインの一部を抜き取り検査したところ、問題はなかったので、卸業者に売却し、それが小売店に再販売され、日本市場で消費者向けに販売された。ところが、販売後、スペイン産のワインの一部に化学物質が混入されており、健康上の被害が予想される旨の報道があり、実際、A社が出荷したワインから微量ではあるがその化学物質が検出されたため、A社は当該ワインを市場から回収した。
(1) B社は、そもそも本件契約にサインした役員はその前日に解任した者であり、B社のために契約を締結する権限を欠くので、B社としては本件取引に一切関係ないと主張している。この主張の当否を判断する準拠法は何か。
以下では、本件契約は有効に締結されたとする。
(2) A社のB社に対する本件契約違反に基づく損害賠償請求に適用される準拠法は何か。
(3) A社はC社に対する損害賠償請求も検討している。これについての準拠法は何か。
(4) 回収されなかったワインを飲んだ結果、健康を害したと主張する日本在住の消費者からA社・B社・C社に対する損害賠償請求の準拠法は何か。
健康被害のおそれありとの報道は誤報であり、問題となった化学物質はぶどうに本来含まれる成分であったとする。
(5) この場合、A社からC社に対する賠償請求をすることができるか否かについての準拠法は何か。