早稲田大学法学部2008年度前期「国際民事訴訟法I」(道垣内担当)試験問題
ルール
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参考文献その他の調査を行うことは自由ですが、他人の見解を求めること及び他人の見解に従うことは禁止します。
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解答作成時間は自由ですが、解答送付期限は、2008年8月1日(金)15:00です。
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解答は下記の要領で作成し、[email protected]宛に、添付ファイルで送付してください。
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メールの件名は、必ず、「国際民事訴訟法I」として下さい(分類のためです)。
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文書の形式は下記の通り。
・ A4サイズの紙を設定すること。
・ 原則として、マイクロソフト社のワードの標準的なページ設定とすること。
・ 頁番号を中央下に付け、最初の行の中央に「国際民事訴訟法I」、次の行に右寄せで学生証番号と氏名を記載してください。
・ 10.5ポイント以上の読みやすいフォントを使用し、また、全体として読みやすくレイアウトしてください。
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枚数制限はありません。ただ、不必要に長くなく、内容的に十分なもの(判例・学説の適度な引用を含む。)が期待されています。
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これは、成績評価のための筆記試験として、100%分に該当するものにするものです。
問題
第1問 次の事例について下記の設問(1)から(3)に答えなさい。(20点×3=60点)
Yは中国在住の中国人大学生である。Yは、韓国人の歌手Xのファンであったが、些細なことからXに対して一方的に敵意を持ち、インターネット上で運営されている中国語の掲示板にXが高校生の頃の私的な写真を無断で掲載するとともに、その写真に虚偽の事実を含む悪意のあるコメントをつけた。Xは中国・韓国・日本が主な活動の場であり、CD及びインターネット配信により、円換算すると、中国で年間1億円、韓国で年間2億円、日本で年間3億円の売り上げをここ数年続けてきた。上記のYのインターネット上の記事は当初あまり話題を呼ばなかったが、韓国の放送会社Zがこの記事を大々的に取り上げ、Yの記載した内容がすべて真実であるかのような番組を放映したことから、広くその内容が流布された。その結果、中国・韓国での収入は4分の1に落ち込み、日本では、10分の1に落ち込み、その後も売り上げが回復する兆候は見られない。
(1) 日本において、Yの名誉毀損等により日本での売り上げが減少したことを損害として、XがYに対してその賠償を求める訴えを提起した場合、日本の裁判所は国際裁判管轄を認めるか。
(2) Xが、上記の日本における訴訟で、日本での損害の賠償に加え、中国及び韓国での損害の賠償についても請求している場合、これらの外国での損害についての賠償を求める訴えについても日本の裁判所は国際裁判管轄を認めるか。
(3) Xが、日本において、Zに対する損害賠償請求訴訟を提起した場合、日本の裁判所は国際裁判管轄を認めるか。
第2問 (40点)
民事訴訟法4条5号に定めるルールに表れた考え方に基づき、本店を外国に有する外国会社が日本に営業所を有することを根拠として、その営業所と無関係な事件について日本の裁判所の国際裁判管轄を認める考え方について、論じなさい。