上智大学法科大学院2010年度「スポーツ・エンタテインメント法」試験

 

注意:

・問1、問2の両方に解答すること。

・参考文献その他の調査を行うことは自由であるが、他人の見解を求めること及び他人の見解に従うことは禁止する。

・解答は8月2日の正午までに、以下のメール・アドレスに送信すること。

           問い1:[email protected] (名と姓の間はアンダーバーです)

           問い2:[email protected]

・送信に際しては、件名を「スポーツ・エンタテインメント法」とし、本文中に、氏名・学生番号を明記すること。

文書の形式は下記の通り。

A4サイズの紙を設定すること。

−原則として,マイクロソフト社のワードの標準的なページ設定とすること。

−頁番号を中央下に付け,最初の行の中央に「スポーツ・エンタテインメント法」,次の行

に右寄せで学生証番号と氏名を記載すること。

10.5ポイント以上の読みやすいフォントを使用し,また,全体として読みやすくレイアウトすること。

・枚数制限はないが、不必要に長くなく,内容的に十分なものとすること。

・時間に遅れた場合には試験を受験しなかったものとして取り扱う。

 

 

問1 

 

競技団体Yは、201091日開催のM世界大会への日本代表選手をABCDEとする旨(本件選考決定)同年712日に公表した。これに対し、選考されなかったXは、この選考には不正があったと主張し、その不正行為の結果選考されたAに代えてXを代表に加えること(請求1)、又は、本件選考決定を全面的に取り消して再選考を行うこと(請求2)を求めて、同年720日、スポーツ仲裁機関Pに仲裁を申し立てた(本件仲裁申立て)Pの仲裁規則はごく常識的なものであり、かつ、下記の点についての明文の規定はないことを前提として、下記の設問に答えなさい。

 

(1) Yの規則によれば、「Yの決定に対しても不服がある者は常に、Yの設置する不服審査委員会による審査を受けることができる。Yは不服申立てがあった場合には2週間以内に同委員会を設置し、同委員会は3ヶ月以内に判断を示すこととする。同委員会の決定に不服がある者は、仲裁機関Pに対して仲裁申立てをすることができ、Yはこれに応じるものとする。」との条項がある。本件では、しかし、Xは不服審査委員会の決定を経ずにPへの仲裁申立てをしているため、Yは仲裁に応ずる義務はないと主張している。これに対し、Xは、Yが不服審査委員会を設置するには最大2週間を要し、さらにその決定を得るまでには最大3ヶ月を要するところ、M世界大会開催まではすでに2ヶ月もないタイミングであるので、そのような手続を経ている時間的余裕はなく、そのような場合には直接にPへの申立てを認めるべきであると主張している。Pとしては、Xの本件仲裁申立てをどのように扱うべきか。

 

(2) 仮に、仲裁手続に入ったとして、仲裁パネルは、Xが主張する不正があったこと、その結果、Aは不正に選考されたことを認定したとする。その場合、仲裁パネルは、請求1・請求2について、どのような判断をすべきか。

 

(3) 仮に、Xの請求が請求2だけであったとする。そして、2010731日に仲裁パネルはこの請求を認め、本件選考決定を取り消す判断をしたとする。これを受け、201081日、Yは再度選手選考会議を開催しAをはずしてFを入れ、代表選手をBCDEFとする旨決定した。

 (a) Xは再びこの81日の選考決定を取り消す仲裁申立てをすることができるか。(1)に記載した不服審査委員会前置を定める規定はないと仮定する。

 (b) 仮に、Xが再びこの81日の選考決定を取り消す仲裁申立てをすることができ、3名の仲裁人で構成される仲裁パネルによる仲裁手続が行われることになったとする。3名の仲裁人のうち1名は、公正性に問題がない限り、各当事者が指名することができると定めるPの仲裁規則に基づき、X731日の仲裁判断をした仲裁パネルを構成していた仲裁人Wを選定する旨Pに通知した。Wは仲裁人として任務を果たしてよいか。

 

<森下教授出題の問2は省略>