国際私法T

47100069 小林知子

1.

(1)

 YA間の婚姻が、わが国の法適用に関する通則法(以下、条文のみで示す。)に照らしていかに評価されるかという問題について、YX間の婚姻の有効性が影響を及ぼしうると考えられるところ、本件において、YX間の婚姻の有効性を疑うべき事情は特にうかがわれない。そこで、以下においては、YX間の婚姻が、日本法上有効であることを前提として、YA間の婚姻について検討する。

本件で、先行するXY間の婚姻を前婚、YA間の婚姻を後婚とすると、すでにXという他の配偶者がいるYがした後婚が、通則法上有効といえるかが問題となりうる。

まず、このような問題を前婚の婚姻の効力と法性決定して25条を適用する見解[1]もあるが、これは婚姻から生じる効果の問題ではなく、後婚の婚姻の成立に関する問題であるとして、24条が適用されると解するべきである[2]

そこで24条をみると、1項で婚姻の実質的成立要件、2項および3項で、婚姻の方式すなわち形式的成立要件について規定している。このうち、1項の「各当事者につき、その本国法による」という規定は、配分的適用主義を採用したものであるが、その解釈[3]については、成立要件を一方要件と双方要件とに区別して、前者の要件については各当事者の本国法の定めのみが各当事者につき適用され、後者の要件については当事者双方の定めが累積的に適用されるとする説と、そのような区別を否定し、両者の本国法を全面的に累積適用する説に分かれている。

もっとも、当事者の本国法が同一の場合に、その同一本国法に照らして有効な婚姻と評価されるということは、その国の法律上の実質的成立要件および形式的成立要件が充足されていることになるはずである。そして本件においても、YAはともに甲国人であり、甲国法上、男性による重婚は認められており、ともにイスラム教徒であるYA間との婚姻は有効であることが前提とされているから、いずれの説を採るとしても、YA間の婚姻は準拠法上の実質的・形式的成立要件を充足しているとして、通則法上、有効と評価される婚姻であるといえそうである。


 しかし、通則法を適用すると外国法によるべき場合において、その適用結果[4]が、公の秩序又は善良の風俗に反するときは、当該外国法の規定の適用は排除される(42条、いわゆる公序則)。そして本件において、先行するYX間の婚姻が、日本において有効に成立しているにも関わらず、通則法により決定された準拠法である甲国法を適用してYA間の婚姻を有効と評価することは、例えばわが国で重婚が婚姻障害事由にあたること(民法732条)に鑑みると、この公序則が発動される可能性がある。そこで、以下において、本件に42条が適用されるかについて検討する。

 まず、42条のいう「公序良俗」の概念について、これを@超国家的公序と解する説と、A自国の公序と解する説が対立しているが、公序則の目的が内国の基本的秩序の維持にあること[5]、@説のいう超国家的な公序というものがそもそも存在するのか疑問と言わざるを得ないこと[6]から、A説が妥当である。本件に即していえば、甲国法を適用してYA間の婚姻を有効とし、日本においてYが重婚状態にあることを認めることが、わが国の公序に反するならば、42条により甲国法の適用が排除されると解すべきである。

 次に、具体的事案に42条が適用されるかは、(i)外国法適用結果の異常性と(ii)事案の内国関連性の度合との相関関係により決定される[7]。そこで本件についてみると、(i)を肯定する方向に働く要素としては、重婚を全面的に禁止する民法732条の存在、同法7441項は重婚を婚姻の取消原因としており、また同項の取消請求権者には公益の代表者である検察官が含まれていること、一夫一婦制を保護法益とする[8]刑法184条の重婚罪の規定の存在およびその法定刑の重さ(2年以下の懲役)が挙げられよう。また、(ii)について肯定する要素としては、Y18歳の時に留学のために来日し、卒業後は日本に居住し、日本でビジネスを立ち上げて成功し、日本人と婚姻しているから、Yは過去においては日本と密接な関係を有しており、それに基づく日本との関係が現在まで継続していること、日本においてXY間の婚姻が重婚と評価されるかはYA間の婚姻の有効性いかんによること、が挙げられよう。(ii)について否定する要素としては、Yは甲国人であり、その生活実態は、日本には年に各約1週間、3回程度来て、日本でのビジネスを見る程度であること、すなわち現在におけるYの日本との繋がりは、過去に比べればかなり希薄になっているといえることが挙げられよう。


以上を踏まえると、(i)結果の異常性は相当程度に高く、(ii)も低いとはいえないから、YA間の婚姻を有効と評価することは、わが国の法秩序維持の見地から妥当ではない。よって、YA間の婚姻について42条の適用があり、甲国法の適用は排除される。

ところで、このように42条の適用により外国法の適用を排除した場合、42条は、当該外国法を「適用しない」と定めているだけであるため、排除後の措置が問題となる。学説には、このような場合に法の欠缺が生じるという前提に立つ@内国法適用説およびA補充連結説と、法の欠缺という事態を否定するB欠缺否認説がある。判例は、@説に立つと解される最高裁判例[9]があり、ほとんどの裁判例も@説に立つ[10]

 しかし、外国法規の適用結果が公序を理由として排除されたのであるから、そこから公序に反しない結果を導けばよく、改めて他国の法律を適用する必要があるとはいえないから、B説が妥当と考える[11]

もっとも、B説からは、本件のように、婚姻を有効とする適用結果を否定する場合に、取り消しうる婚姻となるのか、無効な婚姻となるのか、一義的に決まらないともいえそうであるが、公序則はあくまで例外的・抑制的に用いられるものであるから、公序が発動されない最低レベルの結果を導けばよいと考える[12]

本件についてみると、YA間の婚姻を無効と解さないとわが国の公序に反するとまではいえないから[13]YA間の婚姻は、通則法上、取消原因ある婚姻という評価を受けるべきものと解される。

 

(2)

離婚の準拠法は27条に規定がある[14]27条本文は段階的連結を定めているが(25条の準用)、「夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるとき」は日本法による(但し書き)。Xは日本に常居所を有する日本人であるから、XからYに対する離婚請求については、27条但し書きの適用があり、XY間の離婚については、日本法によることとなる。そして、(1)で述べたように、YA間の婚姻は、日本において取り消しうる婚姻と評価されるので、日本においては、YについてXとの有効な婚姻およびAとの取り消しうる婚姻という重婚状態が生じていることになる。

そこでXは、YAの重婚を理由とし、Yの不貞行為(民法77011号)もしくは婚姻を継続しがたい重大な事由の存在(同項5号)という離婚原因がある[15]と主張して、離婚を請求できると考えられる。

 

(3)

 (a)BYの財産の相続権を有するかという問題について検討するにあたり、(b)BY間の親子関係の存否がまず問題となる。このような場合[16](a)を本問題、(b)の問題を先決問題ととらえ、先決問題の準拠法について、@本問題準拠法によるとする説、A本問題の準拠法所属国の国際私法によるとする説等がある。しかしこのように解すると、当事者の請求の立て方いかんによって準拠法が変わりうる[17]が、法的解決の統一性が当事者の恣意により左右されるのは望ましいこととはいえないので、Bこれらの問題は、個別に、法廷地の国際私法、すなわちわが国の国際私法によって定まる準拠法によって解決されるべきと解する説(法廷地国際私法説)によるべきである。

以上をふまえて、まず、(b)BY間の親子関係の存否について検討する。嫡出親子関係の成立については28条が適用されるところ、同条1項は、「夫婦の一方[18]の本国法で子の出生の当時におけるものにより子が嫡出となるべきとき」には、嫡出性を認めている。そうすると本件においては、Bは、出生当時のYの本国法である甲国法によっては嫡出とはなりえないが、出生当時のXの本国法である日本法(民法772条)によれば嫡出推定を受けるので、BYの嫡出子となる。

 次に、(a)BYの相続権を有するかについて検討する。特定人が相続権を有するか、すなわち被相続人の相続人の範囲に含まれるかという問題は、相続問題である[19]から、36条により、被相続人の本国法による。そうすると、本件ではYの本国法である甲国法によることになるから、甲国法が被相続人の嫡出子に相続権を認めていれば、Bは、Yの遺産について相続権を有する。


もっとも、Bが、日本および甲国に残されたYの具体的な財産を相続できるかについては、さらに、Yの相続財産の範囲について検討する必要がある。

被相続人の個別の財産が相続されるか、すなわち被相続人の相続財産に含まれるかという問題は、相続問題であるから、36条により、Yの本国法すなわち甲国法によることになる[20]

ところで、相続財産の構成について、「個別準拠法は総括準拠法を破る」という原則が適用されるとする見解があり、このような見解を前提として相続準拠法と不法行為地法の累積的適用を認めた裁判例[21]もある。仮に、この原則が本件においても適用されるとすると、ある財産につき相続準拠法が相続財産としても、個別準拠法によれば相続財産とされない場合には相続財産とならないことになる[22]。しかし、この原則についてはそもそも通則法上の明文がない。また事案の簡明な処理を図れる相続統一主義を採用した36条の意義が乏しくなる[23]。よって同原則は本件においても適用される余地はないものと解する。

しかし、本件で甲国法を適用するとしても、甲国の国際私法次第では反致が成立する可能性がある。甲国の国際私法が、@財産の種類・所在地にかかわらず、相続全体について一つの法を適用する相続統一主義を採用しているか、A動産と不動産を区別して、動産相続は被相続人の住所地により、不動産はその所在地法によるという相続分割主義を採用しているか[24]、不明である。そこで以下で場合分けをして検討する。

@の場合

Yの財産は、甲国にある財産も日本にある財産も一括して、甲国法に基づき、相続財産

となるか決定されることになる。

もっとも、甲国国際私法が、相続について日本法を準拠法として指定している場合には、反致(41)が成立する可能性がある [25]の場合は、甲国の国際私法が連結点を最後の被相続人の常居所地や住所地とし、それが日本にあるとされれば、反致が成立し、日本民法896条により、Yの一身専属権以外の一切の権利義務につき、すなわちYの甲国の財産および日本の財産の両方について、Bが相続権を有することになる。しかし、下記A(i)で述べるように、常居所や住所は日本にはないと考えられるので、反致は成立せず、甲国法が相続の準拠法となる考えられる。


Aの場合

 部分反致が成立する可能性がある。すなわち、Yの財産のうち(i)動産についてはYの住所地法により、(ii)不動産についてはその所在地法によることになる。り、相続財産となるか決定されることになるが、この場合、さらに検討すべき問題が生じる。

(i)について

Yの住所地はどこであるかが、住所地の意義を含めて問題となる。この場合の住所地の概念は、相続準拠法である甲国の国際私法におけるそれであると解されるところ、本件においては、Yは日本に居住してはいたものの、死亡に先立ち、少なくとも2年以上は年間300日以上甲国で生活しており、また甲国で婚姻していたという事情がある。そのため、反致は成立しない。そこで、Yの住所地は甲国であるとされる可能性があり、その場合には、動産については甲国法により、相続財産となるかが決まる。 

これに対し、甲国の国際私法によれば日本が住所地であるとされた場合は、反致が成立して(41)日本法が適用され、動産はYの相続財産となる(民法898条本文)から、Bはそれについて相続権を有する。

(ii)について

日本に所在する不動産については日本法が適用され、民法898条本文により相続財産となるから、Bはそれについて相続権を有する。他方、甲国に所在する不動産については甲国法が適用され、相続財産となるかが決まる[26]

なお、以上は部分反致を認める前提に立った場合の結論であるが、部分反致が認められるべきかについては争いがある[27]。部分反致は、36条が採る相続統一主義の貫徹からは望ましくない事態であることは確かであるが、通則法が、反致規定により判決の国際的調和図ることとしている以上、前者の要請より後者の要請が優先され、部分反致も認められるものと解するべきである[28]

 

2.

(1)

 親権の有無・得喪・変更に関しては、親子間の法律関係に属する問題として、32条が適用されると考えられる[29]。そして、改正民法834条の親権停止制度は、一時的に親権を失わせる制度であるから、親権の得喪の場合と同じく32条が適用されるものと解される。そして32条は、子の本国法が父または母の本国法と同一である場合には子の本国法により(同条前段)、その他の場合には子の常居所地法による(同条後段)という段階的連結を採用しているところ、本件はABCはすべて乙国人であるから、32条前段の適用があり、子の本国法である乙国法が適用されることになる。

 そうすると、乙国法には親権喪失制度も親権停止制度もないのであるから、日本の検察官が親権停止の審判を請求しても、家庭裁判所はこれを認め得ないことになりそうである。しかし、本件では、ABCに対して日常的に虐待を繰り返していたことが発覚したため、検察官が親権喪失の請求をしたと考えられる。そこでこのような場合、上述のような乙国法の適用結果が、42条の公序則によって排除されないかが問題となる。

 1(1)で述べたとおり、この場合の公序とは日本法における公序を指し、@外国法規の適用結果の異常性とA事案の内国関連性の相関関係により、公序違反であるかが判断される。

まず、適用結果の異常性について検討する。近年、監護者による児童虐待が急増し、社会的・法的問題となっていること[30]、そのため、「父または母による虐待」が、「親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害する」ために親権喪失の審判ができる場合として平成23年改正で例示され(民法834条)、また平成23年改正で民法834条の2の親権停止制度等が設けられたこと[31]、本件ではCの生命・身体という重要な法益が現実に侵害されていることに鑑みると、ABに対する親権喪失の請求が認められないという結果の異常性は、高いと評価できる。

次に、事案の内国関連性について検討する。ABCが乙国人であることは、事案の関連性が低いとする方向に働きうる要素である。しかし、AB夫婦が日本に20年以上にわたって居住していることや、Cへの虐待が日本において行われていることを踏まえると、事案の内国関連性は高いと評価できる。

以上から、本件においては@Aのいずれも高いといえ、乙国法を適用してABの親権を喪失させることはできないとすることは、わが国の法秩序維持の見地から妥当ではないといえるから、42条が適用され、乙国法の適用は排除される。よって、本件において、家庭裁判所は検察官の請求を認めることができると考える。<乙国法の適用結果である親権停止を認めることができないという結果が公序違反であるとしても、日本には民法834条の2の親権停止制度がある以上、親権喪失までを認めなくても、親権停止でよいのではないでしょうか。もっとも、裁判においては、訴訟指揮により、第二次的に、親権停止を求める請求に追加的変更をするように促す必要があるかもしれません。>

 

(2)

 本件においては、検察官が親権停止の審判(民法834条の2)を請求した場合も、32条により乙国法が適用され、乙国法に親権停止制度がない以上、請求は認められないとも考えられる。しかしこのような結論は、(1)の場合と同様の理由により、わが国の公序に反するといわざるをえないから、42条により乙国法の適用が排除され、その結果、家庭裁判所は検察官の請求を認めることができると考える。すなわち、本件は、親権停止の請求に対して裁判所が下すべき結論そのものは、親権喪失の請求をした場合と同一に解されるべき事案である

もっとも、親権喪失の審判の要件は、「親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害」し、かつ、「2年以内にその原因が消滅する見込み」がないこと(民法834条)であり、その効果は親権を無期限に剥奪するというものである(民法834条の2と対比)。これに対して親権停止の審判の要件は、「親権行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害する」場合であればよく、その効果は2年を超えない程度で、裁判所が一切の事情を考慮してその裁量により停止期間を定めるものとされている(同法834条の2)。このように、親権停止の審判の要件・効果は、親権喪失の審判に比べてかなり軽減されているから、親権停止の請求は親権喪失の請求に比べて認容されやすい[32]と考えられる。

以上のような制度上の相違を踏まえると、本件においても、乙国法によればABの親権喪失請求が認められないという適用結果よりも、親権停止請求が認められないという適用結果のほうが、裁判所としては、異常性が高いという判断に達しやすいと考えられる。すなわち、(1)よりも(2)の場合のほうが、家庭裁判所が公序則を発動させる蓋然性が高いといえ、その点において家庭裁判所の判断に差があり得ると考える。

<親権停止制度導入の経緯に鑑みると、この制度は公益に深く関係しており、少なくとも日本に救うべき子がいれば、その国籍の如何を問わず適用するという議論も不可能ではないように思われます。つまり、民法834条の2は絶対的強行法規(=国際的強行法規)だという議論です。この議論によれば、同条の地域的適用範囲が問題となるだけだということになります。これに対し、親権喪失制度は、親権そのものに関わることであり、外国法が適用されるべき場合に当然に適用するという議論よりは、一応外国法を適用して公序違反である場合のみ適用結果を是正するという議論の方が穏当かもしれません。>

 

[1] 東京家判平成18105日家月59-10-49

[2] 上の判決の控訴審東京高判平成19425日家月59-10-42および同判例の評釈『平成19年度主要民事判例解説』判例タイムズ社, pp.270-1[實川和子].

[3] 学説につき、澤木敬郎・道垣内正人『国際私法入門[第6版]』有斐閣, 2010, pp.102-3.および櫻田嘉章・道垣内正人編『国際私法判例百選[新法対応補訂版]』有斐閣,2007, p. 103[金ムン淑].

[4] 櫻田・道垣内、p.20[横山潤]によれば、この点について学説上異論はない。裁判例は、

東京地判平成5129日判例時報1441-41は、適用結果について公序則を適用して

いるが、東京地判平成3329日家裁月報45-3-67は、異教徒間の婚姻を禁止するエジプト法の規定の内容そのものについて公序則を適用している。

[5] 澤木・道垣内、前掲書、p.61.

[6] 道垣内正人『ポイント国際私法 総論[第2版]』有斐閣, 2007, p. 257.

[7] 同書、p. 258.

[8] 西田典之『刑法各論[第五版]』成文堂, 2010, p.388、山口厚『刑法』有斐閣, 2009, p.430.

[9] 最高裁判決昭和59720日民集38-8-1051(ただし、傍論).

[10] 道垣内、前掲書、p. 273. A説に立つ裁判例として、東京地判平成21128日判時1384-71.なお、@ABのいずれとも異なる見解に立った裁判例として、東京地判昭和33710日裁時262-111. 外国法規の排除によって生じた欠缺を、当該外国法秩序における他種の規定やその法秩序全体の精神から類推解釈することにより補充すべきとする。

[11] 学説上は、B説が通説的な見解とされる。櫻田・道垣内、前掲書p.26[早川眞一郎].

[12] 澤木・道垣内、前掲書、pp.63-4.

[13] わが国では、重婚はいまだ無効原因(民法742条各号)ではなく取消原因にすぎない。

[14] なお、協議離婚は法律行為であるから、34条によることになる。同書、p. 121

[15] 失踪宣告の取消し(民法32条)により重婚状態が生じたときの5号該当性について、佐久間毅『民法の基礎 1総則[第3版]』有斐閣、2009pp.30-1. 本件では、重婚状態がYの意思による後婚により生じたため、1号も主張できると考えられる。

[16] 学説につき、澤木・道垣内、前掲書、pp.25-6

[17] 同書、p.26. 櫻田・道垣内、前掲書、p.7.[道垣内正人]最高裁判決平成12127日民集54-1-1もB説を採ったが、その理由は示されていない。

[18] この「夫婦の一方」とは、嫡出親子関係の問題が決定されるまでは父・母とはいえないため、中立的な表現としたにすぎない(澤木・道垣内、p. 126)。つまり、本件のような離婚後の嫡出親子関係の決定についても28条の適用がある。

[19] 澤木・道垣内、前掲書、p. 151.

[20] 同書、p.152.

[21] 大阪地判昭和62227日判時1263-32. 評釈として、櫻田・道垣内、前掲書、pp.146-7.[大村芳昭]

[22] 木棚照一編『演習ノート 国際関係法[私法系]』法学書院、2010, pp.184-5.[木棚照一]は、実効性の利益と所在地等の取引の利益を考慮した同原則の意義を、より広く認めるべきであるとする。

[23] 19の判例およびそれを支持する通説の立場には、同一の法的問題を二重に性質決定するという根本的な問題があると批判する見解として、櫻田・道垣内、前掲書、p.147および道垣内、前掲書、p.91.

[24] 相続統一主義と相続分割主義について、澤木・道垣内、前掲書、p.157.

[25] 反致については完全否定説もある。反致規定削除論が有力であったにもかかわらず通則法においても反致規定が残された経緯について、道垣内、前掲書、pp.224-6.

[27] 澤木・道垣内、前掲書、p.158. 最高裁平成638日判時1493-71は、不動産相続について部分反致を認めた。

[28] 櫻田・道垣内、前掲書、p.13.[北澤安紀]

[29] 前掲最高裁平成12年判決参照。

[30] 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行『民法7親族・相続[第3版]』有斐閣アルマ, 2011, pp.195-6.

[31] 同書、p.196.

 

以上