国際民事訴訟法

E1012275 酒井 昌弘

<赤字部分は道垣内が補正した部分>

問題1

 

一、設問(1)について

1.Y国政府はXとの間で、航空機購入契約(以後、本件契約と表記)を締結したが、Y国は主権国家であることから、こうしたY国に対する裁判権免除を如何に考えるか、問題となる。

2.主権国家に対し、民事訴訟における裁判権が及ぶか否かについては、過去において、国家主権・主権平等の原則の下、主権国家が他の国家の裁判権に属することはないという絶対的免除主義が国際慣習法として成立していた。しかしロシア革命 以降、社会主義体制国家の登場等に伴い、そうした社会主義国や、又それ以外の国家においても、国家の果たす役割が拡大を続け、特に国家による私法分野での活動が増大する中、国家主権を侵害される恐れのない場合にまで、国家に対する民事裁判権免除を認めるのは、外国国家と私法的乃至業務管理的行為の相手方となった私人に、合理的理由なく司法的救済を与えないこととなり不当である、との考えが世界各国で広まった。そして国家に対する民事裁判権の免除を一定の場合制限しようとする、国及びその財産の裁判権からの免除に関する条約(以下、本条約と表記)が国連で作成されるに至り、絶対免除主義は、もはや国際慣習法として成立しえなくなった。そして現在では、国家の活動を「権力行為」(主権的行為)と「職務行為」(私法的ないし業務管理的行為)に分け、免除の適用範囲を前者についてのみ認めるとする制限免除主義という考え方が、国際的にも主流となり、これは先述の本条約にも反映されている[1]。本条約は2004年に成立し、我国はこれを2009年に批准したものの、批准要件である30国の批准が満たされていないので未発効ではある。ただ我国ではそれにもかかわらず、本条約の発効に先駆けて、外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律(以下、裁判権法と表記)が既に制定及び施行されているため、名古屋地裁に提訴された本事案は、この裁判権法の規律によって判断されるべきこととなる。

3.すると裁判権法4条により、外国等は、裁判権法に別段の定めある場合を除き、我国民事裁判権から免除されるとあるので、以下で別段の定めの有無を検討する。今回の事案で問題となるのは、航空機の売買契約に伴う代金支払い請求権の有無であるので、本件契約が商業的取引(裁判権法8条)に該当するか否かである。そこで本件契約の内容を検討するに、本件契約は売買契約であるので、一見すると商業的取引に該当しそうであるが、一方で、Y国が本件契約を行った目的は、 同国で沿岸警備や海難救助用に用いる航空機を購入することにあり、これは公的目的である。では商業的取引に見えても、その目的が公的目的であることが明らかな場合、裁判権法8条にいう商業取引には該当しないのであろうか。

4.ここで裁判権法8条のいう商業的取引とは何かが問題となる。この点、行為の性質に着目し、売買契約であれば、どんな場合でも商業的取引に該当するという考え方がある(性質説)。その一方、行為の目的に着目し、同じ売買であっても、公的な目的で買うのであれば商業的取引には該当せず、裁判権法8条にいう商業的取引とは、私的分野での取引に限定されるべきとの考え方もある(目的説)[2]。ではこのいずれが妥当であろうか。国家とは公的存在であり、その活動には公的活動が多いから、行為目的説を採用すると、国家が物を買う場合は、凡そ公的な目的で購入することが多いので、国家を相手とする商業的取引の殆どが公的行為とされてしまい、これでは制限免除主義を採用する意味がなくなってしまう。 そこで基本的には性質説を採用すべきである。比較法的にも性質説を採用する国が多く、また本条約の趣旨においても基本的には性質説が採用されているので、性質説の採用が妥当と言いうる。ただ売買契約というだけで全ての国家の行為を裁判権免除しないといするのも、場合によっては主権侵害になる場合もあるし、硬直的に過ぎる。そこで国家が行う商業的取引行為のうち、その性質上、私人でも行うことのできる商業的取引であれば、裁判権法8条にいう商業的取引に該当すると考えるべきである(最二小判平成18721日の趣旨等を勘案)。

5.そこで本問を考えるに、本事案では、沿岸警備、海難救助のための航空機購入契約が問題となっており、これは私人にはできない公的行為にも見える。しかし航空機を購入後、それをどのような目的や趣旨で運用するのかはさておき、当該航空機の購入行為それ自体は、例えば日本では自衛隊の軍用機購入契約の場合に私人である民間商社を介在させる場合があるように、Y国でも、商社等の私人がこれを行うことは十分に可能である。また別の公的目的のため、購入契約を制約する立法行為等の公的活動が行われたといった例外的事情も、本問事情からは くみ取れない(バングラデッシュによるアカゲザル輸出禁止事件における、米国裁判権の有無を巡る事案を勘案)。

6.よってXY国との間の航空機購入契約は、裁判権法8条にいう商業的取引に該当し、Y国による、公的目的による購入故に、本件契約は裁判権法8条の商業的取引には該当しないという主張は、認められない。

 

二、設問(2)について

1.本問では商業的取引であるので、裁判権法8条により、我国においてはYの裁判権は免除されない。しかしYがその憲法規定により、外国裁判所の裁判において、被告として本案を争うことができないという事情がある場合、こうしたYの主張を如何に解すべきか。

2.Y国憲法のこの規定の趣旨であるが、Y国の国家主権を堅持することにあり、他国の裁判所を通じた、Y国国家主権への介入干渉には一切応じないということと思われ、言わば国家裁判権免除の問題に関し、Y国は絶対免除主義を国是として採用したことを宣言したものと思われる。ただ先述の通り、裁判権免除問題に関する絶対免除主義については、既に確立した国際慣習法としては成立しておらず、逆に、我国がその  司法権を、一定の場合には、Y国という外国国家にも及ぼすことができるとする制限免除主義は、設問(1)でも検討した通り、既に国際的に確立した慣習法であると言い得る。国家が自らの主権の一部である裁判権を、いずこまで及ぼすことができるのかという問題は、国際(公)法で定まる。つまり国際法上、我国が裁判権法8条のような規定を設け、Y国の裁判権を一定の場合には免除を認めないということは、国際法上、制限免除主義が国際的に確立した慣習法となった現在では、全く問題が無い。

3.以上より、Y国のこの主張によって、日本の裁判所において、本件事案における   Y国の裁判権免除が認められることはないと解するべきである。

 

問題2

 

一、設問(1)について

1.本件丙国判決が我国で効力を有するには、法令又は条約により外国裁判所の裁判権、つまり裁判管轄が認められるか否かが、その一つの問題となる(民訴法1181号)。こうした外国裁判所の裁判管轄のことを、我国裁判所の国際裁判管轄とは区別して、間接管轄というが、本問事案において、丙国裁判所にこの間接管轄は認められるか。

2.ここでまず問題になるのは、判決国の管轄権(間接管轄)の有無を検討するに当たり、我国裁判所は我国のルールに則り、積極的に判決国の管轄の有無を判断すべきか。あるいは半稀有判決国が自ら管轄ルールに従って管轄を肯定した場合、我国はそれを尊重すべきか。この点については多々議論があるが、現在の民訴法1181号の文言では、外国裁判所が管轄を有することを要する旨が明示されていることもあり、前者が妥当と考える。[3]

3.次に問題になるのは、間接管轄の有無を検討する場合に基準となる日本法の内容についてであるが、間接管轄の判断基準は、我国裁判所が自ら裁判する場合の国際裁判管轄権の判断基準と同じでよいか。この点についても議論はあるが、国際裁判管轄の決定の本質とは、通説的に言われるように国際的な民事裁判機能の分配の問題と理解すべきであるとすると、外国判決承認と自国における裁判は、法廷地の場所が異なる点を除けば、本質的に、裁判管轄権の行使という点では変わらないので、間接管轄と我国の国際裁判管轄とは、基本的には同一基準で判断することが妥当と思われる。[4]

4.では間接管轄を我国の国際裁判管轄権の判断基準で判断するとして、具体的にいかなる基準で判断すべきか。この点、我国ではこれまで国際裁判管轄に関する明文規定がなく、依るべき条約も一般に承認された国際慣習上の原則も確立していなかったことから、長らく最高裁がマレーシア航空事件(最二小判昭和561016日)で   示した基準、すなわち「当事者間の公平、裁判の適性迅速を期するという理念により、条理に基づいて判断されるべき」とされてきた。そしてこの条理の内容として、「我が民訴法の国内土地管轄に関する規定、その他民訴法の規定する裁判籍のいずれかが国内にある場合、これに関する訴訟事件に付き、被告を我国裁判権に服させるべきである」されてきた。しかし特段の事情がある場合には、国際裁判管轄が否定されることを認めた下級審判決が出始め、最高裁判例までもが出るに及び(最三小判平成91111日)、その後、この特段の事情の有無を巡って様々な判決が生まれ、この「特段の事情」という抽象的要件の有無が国際裁判管轄の有無を決するようになっていってしまった結果、我国裁判所での国際裁判管轄に関する予測可能性が著しく奪われるに至る。このため、国際裁判管轄における予測可能性を取り戻すべく、国際裁判管轄についての法制化が検討され、平成234月に民訴法改正という形で成立した(以下、新法と表記)。この新法はまだ施行前であるが、近々施行される予定であることから、国際裁判管轄の有無を判断する条理の内容を検討するに際し、新法の内容を判断基準に加味すべきと思われるので、そうした点を前提に、以下で本問に ついて検討する。

5.本問ではAB社との間で、ネット上のB社ウェブサイト上にて、本件契約を締結したが、その中に「この契約をめぐる一切の紛争は、丙国(英国)の首都を管轄する地方裁判所の 管轄に服する。」との条項があり、この条項によりAB社の間には、国際裁判管轄についての合意管轄(新法3条の7第1項、第3項)が成立しており、私的自治尊重の観点からも、本合意は尊重されるべきであると解すると、丙国裁判所は本件契約について、当事者間の合意管轄に基づいて、国際裁判管轄を有するということになる。ただ、本件契約は英語であり、日本在住の日本人大学生にすぎないAにとって、語学のハンデは大きかったと見え、本事案でも、Aには英文の契約内容をよく読んでいなかったという事情があるが、こうした点を如何に考慮すべきか。考えてみるに、一般に大手法人企業と個人消費者とが契約する際、情報の非対称性や交渉力の格差等の問題から、消費者が不利な立場に立たざるを得ない事態が万国共通で発生している。こうした状況を勘案し、契約というものを、伝統的な対等な当事者同士による私的自治のみに任せることは、消費者と事業者の間の「消費者契約」の分野では不当であり、消費者には一定の取引上の保護が必要であるとされ、各国ではその対策として、消費者保護法制が幅広く採用されてきている。すると国際裁判管轄の問題においても、一定の消費者保護法制が図られるべきであり、新法3条の7第5項は、この点に示唆を与えてくれている。本問では、新法3条の7第5項各号の定める条件を、合意管轄の成立を主張するB社が、いずれも満たしていないのである。

6.以上より、新法の示唆を勘案して条理に基づいて判断する限り、AB社との間には合意管轄が認められない。そして消費者契約において、事業者が消費者側を訴える場合の国際裁判管轄については、原則に戻り被告住所地や居所にあるとすべきであるので(新法3条の2第1項)、すると本件B社の債務不存在確認の訴えについては、丙国裁判所には国際裁判管轄権が無いこととなる。よって民訴法1181号の要件である間接管轄を丙国裁判所は有さず、丙国判決は、民訴法1181号の要件を満たさないと解すべきである。

 

二、設問(2)について 

1.仲裁判断は、我国で承認されると確定判決と同一効力を有する(仲裁法451項)。しかし同条2項各号の事由がある場合には、同1項の規定は適用しないとあるので、まずこの同条2項各号について検討する。まず通知の有無が問題になりうるが(仲裁法4523号)、この点については本問事情からははっきりしないものの、今回は仲裁廷が、一応開廷はされているので、通知も正常になされたと考えるのが普通で あり、するとこの点では仲裁判断を否定できない。次に防御の不可能性について問題になりうるが(同4号)、本号の趣旨は、仲裁手続での防御権行使が物理的にできなかった当事者がいた場合、そうした一方当事者への救済措置として定められたものと解すべきところ、本問Aは、仲裁廷への参加が物理的に不可能であったのではなく、意図的に参加をしなかっただけであると思われる。よって、この点でも、仲裁判断の効力は否定できない。更に本件仲裁判断が日本における公の秩序、または善良の風俗に反するか否かについても問題になり得るが(同9号)、本件事案における仲裁判断が、公序等に反するとまでは言いにくいと思われる。すると仲裁法452項各号による仲裁判断の承認否定は、本件事案ではかなり難しいのではないかと思われる。

2.ここで次に、仲裁判断を仰ぐ旨のAB社間の合意の私法的効力について検討するに、[日本在住の日本人Aと丙国法人であるB社との間で締結された本件契約は、設問(1)でも検討した通り、渉外的法律関係であって、又消費者と事業者との間で締結された消費者契約である。本問事情によれば、本件契約の準拠法は明らかではないが、仮に本件契約に関する準拠法に関する定めがない場合には、本件契約の成立、及び方式は、消費者の常居所地、つまり日本法によることとなる(法の適用に関する通則法[以下、通則法と表記]112項、5項、及び6項各号)。すると本件事案では、事業者B社が重要事項であるホテルCの営業状況について、現在も営業中であると、事実と異なる情報を消費者Aに告げて、消費者契約をネット上で勧誘し、これによって消費者Aが当該Cホテルは現在も営業中であると誤認して本件契約に至っているので、AB社に対し、本件契約の取消しを請求できるはずである(消費者契約法411号)。すると本件においてAは、本件契約の一部であるAB間の仲裁合意部分についても、取り消すことが可能であると思われる。]

[3.また更に本問では本件契約の契約締結日時がはっきりしないが、AとB社との間の契約は消費者契約に該当するところ、仮に本件契約が平1631日の仲裁法施行日以降に締結されたものである場合には、]Aは、丙国での仲裁手続の口頭審理に欠席しているので、Aは消費者仲裁合意を破棄したとみなされるし(仲裁法附則31項、7項)、又Aは仲裁合意の解除もできる(仲裁附則31項、2項本文)。

4.以上より、本問B社が丙国仲裁廷で得た仲裁判断は、日本で承認されることはないと解するべきである。

 

三、設問(3)について

AB社に対する損害賠償請求訴訟の趣旨は、丙国法人である事業者B社が、日本在住の日本人消費者Aに対し、契約の本旨に従えば、本件契約に際して正確な情報を提示すべきであった処、重要事項について事実とは異なる情報を告げてAに契約締結を勧誘し、これによってAが事実を誤認したまま契約を締結し、この結果Aが被害を被ったとして、その損害を填補させるべく損害賠償請求をしたというもので、これは、AによるB社の債務不履行を理由とした損害賠償請求と言える。するとこれは消費者契約に関する訴えなので、新法の趣旨を加味した条理によれば、新法3条の4第1項によって、消費者契約たる本件契約締結当時に、Aの住所であった日本の裁判所に、国際裁判管轄が認められると解するべきである。

[ネット業者にとって、日本在住者も顧客としてはいるものの、消費者の住所地管轄を認めることは酷な場合があり得るので、「特段の事情」(新法下では「特別の事情」)の有無の検討をする必要はあろう。]

 

四、設問(4)について

1.まずA及びその両親がD社に対して提起した損害賠償請求(以下、本件請求と表記)の趣旨は何か。本問事情によれば、Aもその両親も、D社とは直接契約を結んだことは無く、D社は、Aから観光バスツアーの手配を請け負ったB社からAへの役務提供の依頼を受けた、B社とは全く関係のない別の法人に過ぎない。[むしろ、B社は、AD社との契約を仲介しただけで、AD間には契約関係(おそらく,その契約の準拠法はバス事業を営む乙国法)があるのではないか。もっとも、その契約義務履行地は乙国であるので、国際裁判管轄の判断を左右するものではない。] するとD社はA及びその両親に対して、契約責任を直接に負うとは言い難い。よって本件請求とは、D社のAに対する不法行為を原因とする、A及びその両親からD社に対する損害賠償請求であると解すべきである。

2.すると新法の趣旨を加味した条理に基づけば、国際裁判管轄を検討するには、新法3条の5第8項の規定を考慮した上で、検討することとなる。不法行為に基づく損害賠償請求訴訟の国際裁判管轄は、証拠の存在や、当事者間の公平の観点から、原則としては、不法行為地にあると考えるべきである。本問事情によれば、AはD社の観光バスで乙国を旅行中、バスの運転手が急死したことで、崖からバスが転落するという事故に遭い、大けがを負ったので、不法行為地は乙国と言える。よって不法行為地が日本国内にはないので、本件請求については原則として、日本の裁判所には国際裁判管轄は無い(新法3条の5第8本文)。ただ外国で行われた加害行為であっても、その結果が日本国内で発生した場合において、日本国内におけるその結果発生が通常予見することのできないものであった場合には、こうした場合は、日本で不法行為の結果が発生したので、日本こそが不法行為があった地とも言えるし、こういう場合にまで被害者に加害行為地(被告所在地での訴訟を求めるのは酷でもあるので、日本の裁判所に国際裁判管轄が認められと解する(新法3条の5第8カッコ書き)。

3.では本件請求は、こうした新法3条の58カッコ書きの要件に当てはまるのか。この点、本件請求が発生する原因である、Aの日本に帰国してからの手術について、そこには内容が困難なものであったため、事故のあった乙国での手術は実施が難しかったという事情がある。又手術は日本で行われ、Aの両親による飛行機の手配も日本で行われたと推測できることから、こうした手術や手配にかかった費用も日本において発生していると思われるので、この点をもって加害行為結果が日本国内で発生し、日本国内におけるその結果発生が通常予見することのできないものであった場合に該当すると言えなくもない。しかし新法3条の58カッコ書きが想定する場面とは、外国での加害行為の結果、加害行為の当時には全く予期がされなかった重大な後遺症が、被害者が日本に入国後に初めて発生したような場合を指しているであり、今回の事案のように、結果自体は乙国で全て発生している場合は、想定していない。[このように解する理由が示されていません。]またこうし手術や手配の費用についても、これはAとその両親が、Aがよりよい治療を得るために自ら選択したことで発生した費用であり、同じ事故に巻き込まれたD社バスツアーの他の乗客らが、皆乙国での治療のみを甘受しているのに、Aのみがより高度医療をうけることを選択して、その高度医療のためにかかった費用を、ただ一人、自らの母国である日本の裁判所に請求して、乙国の法人であるD社に応訴を迫るというのは、当事者間の公平に反するし、証拠の収集等の点から見ても裁判の公正・迅速という理念に反し、不当であると思われる。つまり本件事案の不法行為地とは乙国であって、また本件事案では、新法3条の5第8カッコ書きの要件にもあてはまらないと解すべきである。

5.以上より、新法の趣旨を加味した条理に基づけば、AとAの両親による本件請求について、日本の裁判所は国際裁判管轄を有しないと解するべきである。

 

以     上

【注】

[1]道垣内正人編 新・裁判実務体系3 国際民事訴訟法(財産法関係)P16

[2]道垣内正人編 別冊ジュリスNo185 国際私法判例百選(新法対応補正版)P165

[3]道垣内正人編 新・裁判実務体系3 国際民事訴訟法(財産法関係)P326327

[4]道垣内正人編 新・裁判実務体系3 国際民事訴訟法(財産法関係)P327P342

 

【参考使用文献一覧】

別冊ジュリストNo185 国際私法判例100選 

164〜P171

新・裁判実務体系3 国際民事訴訟法

 P1551、P326342

【参考使用論文、資料等】

道垣内正人 「日本の新しい国際裁判管轄立法について」

道垣内正人 「国際裁判管轄法制に関する中間試案・要綱・法律の対照表」

道垣内正人 「外国等に対する我が国の民事裁判権」ジュリストNo1387 P5867