早稲田大学法科大学院2013年度後期「国際関係私法基礎」試験問題

 

ルール

-      参考文献その他の調査を行うことは自由ですが、他人の見解を求めること及び他人の見解に従うことは禁止します。

-      解答作成時間は自由ですが、解答送付期限は、20131231()23:00です。

-      解答は下記の要領で作成し、[email protected]宛に、添付ファイルで送付してください。(emailアドレスの名前と氏の間の _ は、アンダーバーです。)

-      メールの件名は、必ず、「WLS国際関係私法基礎」として下さい(分類のためです)。

-      文書の形式は下記の通り。

-      A4サイズの紙を設定すること。

-      原則として、マイクロソフト社のワードの標準的なページ設定とすること。

-      頁番号を中央下に付け、最初の行の中央に「WLS国際関係私法基礎」、次の行に右寄せで学生証番号と氏名を記載してください。

-      10.5ポイント以上の読みやすいフォントを使用し、また、全体として読みやすくレイアウトしてください。

-      枚数制限はありません。不必要に長くなく、内容的に十分なものが期待されています。

-      判例・学説の引用が必要です。他の人による検証を可能とするように正確な出典が必要です。

-      答案の作成上,より詳細な事実関係や外国法の内容が判明していることが必要である場合には、適切に場合分けをして解答を作成してください。

-      これは、成績評価のための筆記試験として、道垣内担当分の100%分に該当するものにするものです。

 

問題

 

日本の大学で約4年間一緒に過ごした日本人ABCと甲国人Dは、卒業式を終えた後、甲国に戻って就職するDの帰国の旅に同行する形で、甲国及び乙国に1週間の観光旅行に行った。

設問1 

Aは、甲国の宝石商T1万ユーロ(100万円)の宝飾品を購入したが、帰国後、それは偽物であることが判明した。

(1) ATに対する代金返還等請求訴訟を東京地方裁判所に提起したとする。東京地方裁判所は国際裁判管轄を有するか。

(2) Tが応訴したとする。この場合、Tの責任の判断にはいずれの国の法が適用されるか。

設問2 

Bは、甲国のレストランRで牡蠣を食べた。ところが、この牡蠣に付着していた細菌は異常増殖しており、それが原因となったらしく、乙国に移動してから症状が悪化し、乙国で入院し、さらに重体のまま日本の病院に特別移送して加療しなければならなかった。Bは快復したものの、乙国での医療費200万円、移動費用200万円、さらに日本での医療費100万円、計500万円を要し、これらをカバーする保険に加入していなかったため、この全額を自己負担した。

(1) BRに対する損害賠償請求訴訟を東京地方裁判所に提起したとする。東京地方裁判所は国際裁判管轄を有するか。

(2) Rが応訴したとする。この場合、Rの責任の判断には、いずれの国の法が適用されるか。

設問3

甲国滞在中、CDとはささいなことで口論となり、DのパンチがCの眼に当たった。Cはその後も旅行を続けたが、日本に帰国後、失明するに至った。

(1)  CDに対する損害賠償請求訴訟を東京地方裁判所に提起したとする。東京地方裁判所は国際裁判管轄を有するか。なお、Dは自分のパンチとCの失明との間には因果関係はないと主張している。

(2) Dが応訴したとする。この場合、Dの責任の判断には、いずれの国の法が適用されるか。